お笑いコンビ・アンタッチャブル は、年に一度の祭典「THA MAANZAI」で10年ぶりの漫才復活を果たし、大注目を浴びました。しかし、実はその前に、ある番組で漫才の復活を果たしていたのです。それが、くりーむしちゅー・有田哲平さんがMCを務める『全力!脱力タイムズ』です。
毎週金曜日の23時から放送される深夜枠のバラエティ番組ですが、その人気ぶりは世間の人達からだけでなく、業界人からも評価されているほど。その番組を立ち上げ、制作総監督を務める名城ラリータディレクター(D)は、多くの人に愛された番組『笑っていいとも!』のADを務め、その後『SMAP×SMAP』に関わり、ディレクターデビューを果たしました。
現在は、『全力!脱力タイムズ』の他に、『冗談騎士』、『有田Pおもてなす』を手がけていますが、そんな名城Dのテレビマン人生について取材していくと、あのタモリさんや元SMAP・木村拓哉さんとトラブルがあったなどの驚きのエピソードが繰り広げられました。多くのことを教わったという『いいとも』時代について、名城Dはバラエティディレクターたちの“源泉”だったと語ります。
記者:名城Dは『笑っていいとも!』にも携わっていましたが
名城D:水曜日の担当でしたね。すごく賑やかで楽しい現場でした。僕は日本大学芸術学部の出身で、大学時代から番組作りを勉強していたんです。だから、なんとなく「番組作り」っていうものを知っている気になっていたんです。だけど実際に『いいとも』に参加したら何もかも新鮮で楽しくて仕方なかったんです。特にタモリさんには色々教えてもらいました。
ADVERTISEMENT 記者:ディレクター時代にもタモリさんから学んだことは
名城D:タモリさんは基本何も言わないんです。だけど、僕が『いいとも』のディレクターを担当することになって、嬉しくて嬉しくて。めっちゃくちゃに張り切ってタモリさんとの最初の打ち合わせで企画を熱弁したことがあったんです。そしたらタモリさんが「ラリータ、そんなんいらない。そんな熱い気持ちはダメだ。もう帰れ」と言われたことがあって。あんなに熱弁したことがすごく恥ずかしくて
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タモリさんからディレクターの正しい姿を学んだと話す名城Dは、その時、「熱意ではなく、何が面白いのか見極める冷静さが必要」ということに気づいたのだといいます。その後、『SMAP×SMAP』のディレクターとなった名城Dでしたが、そのきっかけは意外な人物だったといいます。同番組のADとして2年半番組に携わっていた時、木村さんのコーナーを担当していたといいます。
記者:木村さん担当のディレクターになったのは、木村さんからのオファーがあったとか
名城D:確かに木村さんが僕をディレクターにしてくれたのは間違いないんですが、そのきっかけは本当にいま思い出しても震えが止まらないほど怖い話で……。僕がまだADだったときに、当時高校生だったプロゴルファーの宮里藍さんと木村さんがゴルフ勝負することになったんです。僕も撮影に参加していたんですが、木村さんが途中から本気で勝負しだしたんです。
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プロゴルファーとはいえ、高校生相手に本気て喜ぶ木村さんを見た名城Dは腹が立ち、当時ADだったにも関わらず木村さんに意見したそうです。
名城D:木村さんが楽屋に休憩で戻ってきた時に言っちゃったんですよね。「木村さん。勝とうとしていませんか? 僕は納得できません」と。いや本当生意気なADですよね。今となれば、真剣にお二人が勝負するからこそ、『スマスマ』でしか撮れない映像になる、というのは理解できるんですが……当たり前ですけど、その後にプロデューサーからめちゃくちゃ怒られて「お前ごときが何言ってんだ」と言われました。同僚にも散々説教されて、すごく落ち込みました。
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当時、木村さんは怒るどころか、「でも勝負だからな~」と笑っていたといいます。さらに、その2週間後には名城Dを名指しし、「あいつと(コーナー)やりたい」と言ったそうです。それがきっかけとなり、木村さんと信頼関係ができたと話す名城Dは、「タモリさんや木村さん、そして有田(哲平)さんなどこれまで色んな方々と仕事をさせてもらって感じたのは、面白さとタレントの理想を両立させられるのがディレクターの力量だと思います。」と、今までの経験を生かして“優秀なディレクター”とは何かを見出せたといいます。そんな名城Dが、今後、どんな面白い番組が作ってくのか、期待が高まります。