映画「レオン」で鮮烈なスクリーンデビューを飾ったナタリーポートマンですが、スターウォーズシリーズでは大人の女性へと見事に開花しました。彼女がアカデミー主演女優賞をとった「ブラックスワン」は2010年公開で、精神も肉体も繊細さを要求されるバレエダンサーを見事に演じ切っていました。あらすじからナタリーの役に対する心意気までを見ていきましょう。
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ニューヨークの一流バレエ団に所属しているニナ(ナタリーポートマン)は他のダンサーたちと同じように切磋琢磨し、より良い役を勝ち取ろうと努力をしていました。それは、バレリーナが夢だった母の期待に応えるためでもあったのです。しかし母の愛はニナにとって非常に重いものでもありました。
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バレエ団の次の公演は「白鳥の湖」に決まりました。演出家のトマは、白鳥と黒鳥を同じダンサーを躍らせるため、一つの体に二面性を宿すバレリーナをプリマとして選ぼうとしていました。もちろん、バレエの花形「白鳥の湖」のプリマの座を射止めようとリリーやヴェロニカと共にニナもしのぎを削ります。しかしこの時点では、ニナは生真面目で美しい白鳥には向いているものの、妖艶で邪悪な一面も持つ黒鳥には向いていないと評され、ヴェロニカが第一候補となりました。point 295 | 1
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ニナは何とかしてプリマになろうと、演出家トマに直談判をします。するとトマはいきなりニナにキスを仕掛けてきました。思わずトマの舌を噛むニナに、彼女の中の秘められた攻撃性に気が付いたトマは、ニナをプリマに決定したのです。華々しく紹介されたニナですが、引退を余儀なくされた古株のベスに色仕掛けで役を射止めたのだろうと詰め寄られてしまいます。
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トマはさらに、ニナには性的な欲望や誘惑といった表現力が足りず、自身がその悦びを追求する必要があると告げました。実は、母親に厳しく管理されていたニナは男性経験も少なく、その必要性を感じていませんでした。トマにのめりこむニナでしたが、次第に「実はトマはリリーを選ぶのではないか」といった妄想に取りつかれるようになります。役も恋人も失う恐怖に精神を蝕まれるニナは、気晴らしにと誘われたクラブで麻薬に興じ、男性はもとよりリリーとも関係を持つなど、以前の彼女からは考えられないような行動を起こします。point 310 | 1
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ところが、それらはニナの妄想でした。プリマの特訓をする毎日の中、幻覚や妄想に取りつかれるニナ、ついに自宅で母が描いた絵に笑われるという幻覚を見て倒れてしまいます。精神的にも肉体的にも限界だったニナを見た母親によって本番に穴をあけるところだったニナですが、何とか本番を迎えます。序盤は順調だったものの、王子役のダンサーがニナを受け止め損ねてニナは舞台へと倒れこんでしまうのです。
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本番での失敗に憔悴して楽屋に戻ったニナは、そこになんと黒鳥の恰好をしたリリーを発見しました。驚愕するニナでしたが、リリーの姿は次第にニナ本人の姿に変わり始めます。対峙する二人は激しいもみ合いになりましたが、ついにニナはリリーを割れた鏡の破片で刺し殺しました。リリーの死体を隠して第三幕を踊る黒鳥のニナに、観客は絶賛の拍手を送ります。白鳥に戻って第四幕を踊り終えたニナは、実はさっきのもみ合いはニナの妄想であり、刺したのは自分自身であることを理解します。トマにもリリーにも称賛を得たニナは、薄れゆく意識の中で完璧に踊りきったことに満足して目を閉じたのでした。point 355 | 1
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練習のシーンも含め、ナタリーポートマンのバレエシーンはかなり激しいものです。彼女は子供の頃バレエを習っていたとのことですが、この撮影に入るまでの特訓で体重を9キロ落としたといわれています。もともと、ナタリーポートマンはベジタリアンであり、体形の維持には非常に気をつかう女優として知られています。さらに主人公ニナに負けずおとらず役に真摯に向き合うナタリーポートマンは「今までやったことのない役に挑戦したい」という意欲の持ち主です。彼女の痛々しいまでの体つきが、精神を蝕まれていく様子をさらに表現しており、アカデミー賞も納得の一作です。point 334 | 1