プロボクシングバンタム級の3団体統一チャンピオン、井上尚弥選手が13日夜、バンタム級で世界初の偉業となる4団体王座統一をかけてイギリスのポール・バトラー選手との一戦に臨みます。4団体統一はバンタム級では世界で初めてで、日本選手が達成すればすべての階級を通じて初めての偉業となります。
井上選手は抜群のパンチ力を持ち味にデビューから23戦負け無しで、今年6月には5階級を制した経験があるフィリピンのノニト・ドネア選手にTKO勝ちで3団体統一チャンピオンとなりました。一方、対戦する34歳のバトラー選手はスピードを生かした多彩な攻めを見せる技巧派のボクサーですが、侮ることはできません。井上選手はフットワークを生かして距離を取りながら攻めるバトラー選手に対し、長期戦も見据えてスタミナ強化を図ってきたそうです。
試合では高度なテクニックを持つチャンピオンどうしの駆け引きが展開されそうです。12日は横浜市のホテルで前日計量が行われ、より正確を期したいというバトラー選手側の意向もあって、日本で通常使われるてんびん式の量りではなく、デジタルの体重計で初めて実施されました。
先に計量を行った井上選手は53.55キロで、制限体重をおよそ30グラムオーバーしましたが、その後、トイレに行って数分後に再び計量を行った結果、53.45キロで制限体重を下回ってクリアしました。一方のバトラー選手は、53.50キロで1発で計量をクリアしました。
井上選手は、1回目の計量で制限体重をオーバーしたことについて、「初めてです。小ネタをはさんでいいんじゃないですか」と苦笑いしながら話していました。神奈川県出身の井上尚弥選手は高校生の時に全日本選手権を制するなどアマチュアのタイトル7冠を達成して注目を集め、破壊力のあるパンチを持ち味に勝利を重ね、2014年には、WBCライトフライ級のタイトルマッチで、メキシコのチャンピオンを破ってプロ6戦目で世界チャンピオンとなりました。
2019年には団体の枠を超えてその階級で最も強い選手を決める大会「ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ」のバンタム級準決勝でIBFチャンピオンに勝って2団体統一を果たしました。そしてアメリカで権威のあるボクシング専門誌「ザ・リング」が選ぶ、すべての階級を通じて最も強い選手を決めるランキング「パウンド・フォー・パウンド」で日本選手として初めて1位になりました。
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