WBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級井上尚弥が史上9人目の4団体王座統一に成功しました。相手はWBO世界同級王者ポール・バトラーで、11回1分9秒、TKO勝ちに祝福の声が多く寄せられています。世界ベルト4本をまとめる日本初、アジア初、バンタム級初の快挙を成し遂げたことになります。
なおWBA王座8度目防衛となり、WBO世界スーパーフライ級王者時代の7度を抜き、自己最多防衛となりました。井上は「この4年間すごく遠回りした気もするけれど、バンタム級最終章、楽ではないけれど4団体統一という目標に向かって突き進む事ができた。最高の日になりました」と話しました。
プロ転向後初の出げいこでスイッチを入れるための行き先は米ロサンゼルスでした。自ら希望した初めての海外スパーリング合宿で、元世界6階級制覇王者マニー・パッキャオらを育成した名伯楽フレディ・ローチ氏が運営するワイルドカードジムを拠点に2週間滞在していました。WBA世界スーパーバンタム級1位アザト・ホバニシヤン(アルメニア)らトップの世界ランカーとスパーリングを消化し、ローチ氏や世界トップ級の選手の「目」の視線を浴びながらの緊張感あるトレーニングを積んでいました。
「トレーニングの内容どうこうではなく、とにかく環境を変えたかったので良い緊張感を保てましたね。ボクシングに対する『感覚』がすごく伸びました」と手応えを感じていて、試合前の最後に、WBC世界バンタム級暫定王者の弟拓真との兄弟スパーリングで総仕上げで「バッチリです。いいイメージでリングに上がれれば」と自信に満ちあふれながらバトラーと対峙していました。
今回「バンタム級最終章」と銘打った大一番を制し、同級最強を国内外に証明できました「バンタム級は適正階級」としながらも、鍛え抜いた肉体は大きくなっているのも事実で、すぐにスーパーバンタム級に転向することが濃厚で、同級での世界戦線をにらみながら、世界戦のチャンスを待ちます。23年は井岡一翔に続く、日本人2人目の世界4階級制覇を目指します。
◆井上尚弥。1993年4月10日、神奈川・座間市生まれで元アマ選手の父真吾氏の影響で小学1年からボクシングを開始し、高校時代にアマ7冠達成します。12年7月にプロ転向。国内最速(当時)6戦目で世界王座(WBC世界ライトフライ級)奪取し、14年12月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、史上最速(当時)の8戦目で2階級制覇しています。また18年5月にWBA世界バンタム級王座を獲得し、国内最速(当時)の16戦目で3階級制覇、19年5月にIBF同級王座を獲得し、同年11月、WBSSバンタム級制覇、今年6月にWBC同級王座を獲得し日本人初の3団体統一王者になりました。現役の4団体統一王者はアルバレス、ライト級のデビン・ヘイニー(米国)、井上の3人です。
[著作権者VONVON /無断コピー、無断転載および再配布禁止(違反時の法的措置)]