日本映画で歴代興行成績1位を不動のものとしている「千と千尋の神隠し」は、その抽象的な表現が多数用いられている作風から、スタジオジブリ特有の要素の盛り込みや、未だ明らかにされていない多くの謎が含まれています。
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千尋が湯婆婆と契約をするシーン
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千と千尋の神隠しに出てくるひとつのシーンを切り取っても、その中には代表的なものでは、千尋が湯婆婆と契約をするシーンがあります。千尋は、自身の名前を契約書に書く際に「萩野千尋」の「萩」の「火」を「犬」と書きます。これは、ハクから「湯婆婆に本当の名前を教えてはいけない」と忠告されたことを守り、契約を無効にするためにわざと間違えたという考え方と、自身の本当の名前を忘れ始めているのであり、湯屋での忘却症状が早い段階で表れている証というふたつの説があります。結果的に契約書には異なる名前が書かれていたため、千尋は元の世界へ帰ることができました。point 269 | 1
あの世への片道電車
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千尋が坊ネズミとカオナシと共に、銭婆に乗り込む電車は、あの世への片道電車であり、同乗者が真っ黒な姿をしているのは、未来も希望もないことを示唆しています。途中の駅で見かけるホームで見える、おかっぱ頭でどこか前時代的な服装をしている女の子は、「火垂るの墓」に出てくる節子であるという話は非常に有名です。亡くなってしまったタイミングが異なる兄である清太を待っているとされています。どこか不気味に感じられたあのシーンは、宮崎監督による死のイメージ表現によるものでした。point 307 | 1
実際のエンディング
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このように、映画外の宮崎監督へのインタビューなどで明らかになっているものもあれば、未解明のままの謎もあります。そのひとつが、千と千尋の神隠しの本当のラストシーンです。購入ディスクやテレビ放映のものと、映画館で観たエンディングが異なるというものです。劇中の他のシーンを組み合わせたようなものであるため、気のせいとされる説もありますが、多くの人がその違和感を感じているため、はっきりと間違いとは言い切れません。実際のエンディングがどうであったのか、考察はいろいろなところでなされていますが、真実を知るのは作り手であるスタジオジブリであり、未だ明言されていないため、何を言っても憶測の域を出ません。しかし、その神秘さが、この作品をより難解かつ複雑で奥深いものにするエッセンスとして役立っています。point 425 | 1
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他ジブリ作品のオマージュや歴史的なもの、世代ごとの感情など、様々な要素が盛り込まれる千と千尋の神隠しは、その奥深さから世界中で支持されています。