皆さんは、「カントレル五徴症(Pentalogy of Cantrell)」という病気をご存知でしょうか。
この病気は、100万人中5人の発症率と言われる先天性奇形で、心臓が体外に飛び出して生まれてくるというものです。しかし、不治の病といわれる病気でありながら、少女は同じくらいの歳の子と何も変わらず、明るく元気な生活を送っているといいます。
少女の名前は、ロシア在住のヴィサービア・ボルン・ゴンチャロワ(Virsaviya Borun-Goncharova)ちゃん10歳です。世界で100例ほどしか記録に残っていないというとても希な病気を持って生まれたヴィサービアちゃんに、母親のダリさんは医師から「娘はこの症状を抱えたまま生き残ることは難しいだろう」と伝えられたそうです。point 222 | 1
そもそも、カントレル五徴症とは横隔膜、腹壁、心膜、心臓、胸骨の5つに欠損が起こることで心臓が体外に飛び出てきてしまう病気で、心臓脱出の症状を指して「カントレル症候群」と呼ばれるそうです。ヴィサービアちゃんの場合、胸骨の一部と横隔膜が欠落しているといいます。
国家機関(NORD)によると、この状態で生まれた赤ちゃんの多くは長く生き残ることはできず、発症したうちの64%は生後数日以内に死亡してしまうという大変難しい病気です。臓器の中でも「心臓」は人間の身体にとって最も重要なものでありながら、ヴィサービアちゃんの心臓の周りには薄い皮膚が一枚しかありません。「これが私の心臓です。これを持っているのは私だけです。服を着るときは、心臓を傷つけないように柔らかい服を着ます。私は歩き回り、時にはジャンプしたり走り回ったりもします」と語るヴィサービアちゃんの胸から膨らむ心臓が、薄い皮膚の下で鼓動しているのがわかります。point 337 | 1
走ることが大好きだと言うヴィサービアちゃんですが、医師からは「あまり走るべきじゃないと言われる」と悲しい顔で語りました。また、ダリさんは、「心臓が体の外側にある状態で生活するのは簡単なことではありません。本当に壊れやすいからです」と心配が尽きないことを明かしていて、 「もちろん転倒する可能性は否定できませんし、どのような状況でも危険が隣り合わせです。いつ何時も厳重に注意する必要があります」と、元気いっぱいに動き回りたいヴィサービアちゃんの気持ちが分かるからこそ母親としての辛い気持ちを打ち明けました。point 308 | 1
ヴィサービアちゃんが一刻も早く普通の生活を送るためには、手術を行わなくてはなりません。そこで、アメリカのフロリダ州に移住したそうなのですが、症例も少なく難しい技術が必要なことから受け入れてくれる病院はほとんどなかったといいます。そんななか、唯一、ボストンにある小児病院の医師が手術を行うことに同意をしてくれたため、大喜びしていたのですが、ヴィサービアちゃんの肺動脈の血圧の問題を考慮した結果…point 253 | 1
現実的に考えて手術を行うこと厳しいと言われたそうです。
現在も手術を受けることはできていないヴィサービアちゃんですが、幸運なことに彼女は今も元気いっぱいに毎日を生きています。母親のダリさんは「私は彼女を奇跡の存在、そして病気と闘う戦士と呼びたいです」と笑顔を見せました。アメリカで小学校4年生としての生活を送っているヴィサービアちゃんは「自分の人生の中で奇跡のような存在になりたいので、心臓はこのままの状態がいい、手術をしたくない」と前向きに自分の病気を向き合っていることを語っています。彼女のパワーに勇気付けられた多くの人たちから、SNSを通してエールを送るコメントがあふれています。point 351 | 1
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