Twitterで、生きている金魚をトイレに流す動画が広がり、批判が殺到しているところです。
動物や命を粗末にしているのではないかとの理由でネットでは炎上しています。金魚を流しても良いのか?まずはトイレの構造を一緒に見てみましょう。
使用前のタンクには水が所定量たまっています。
※ウォーターラインという目印から2~3cm下
レバーハンドルをまわすとレバーとつながったフロートバルブが持ち上がり、タンクの水が便器 に流れていきます。
タンクの水が流れ終わるとフロートバルブは自重で閉まります。
タンクの水が少なくなると同時にボールタップの浮玉も下がり、ボールタップのバルブから給水が始まり、水位の上昇と同時にボールタップの浮玉も上がり、バルブが閉まることで給水が止まります。
日本の大手便器メーカーであるTOTOの解説によると、トイレを流す時はものすごい勢いがあるので、この勢いで金魚が窒息死する可能性があります。
この投稿者は「自然に返してあげたい」と考えながら金魚を流しているが、自然に返る前に、金魚の小さな体は水圧や流れる水の勢いに耐えられない可能性があるのです。
下水道の仕組み
トイレで流した水は下水処理施設に送られるが、一体どのような仕組みで下水処理されているのでしょうか。
下水管
家庭や工場などで発生した汚水、または雨水などは下水管に流れていきます。
下水管は都市の地下で網目状になっており、雨水は河川に、そして下水は下水処理施設へ運ぶ役割を果たしています。
ポンプ場
汚水は下水処理場に入る前に「ポンプ場」という施設に送られます。これは勾配を設けて、下水処理場からポンプ場が地面から深くならないようにするためです。所々にポンプ場を設けて、浅いところに汲み上げる役割も担っています。
下水処理場
その後、運ばれてきた汚水は下水処理場へ移動します。バクテリアや微生物などが下水の汚れを浄化して水を綺麗に処理します。
ここで綺麗になった水は河川や海などに放流され、自然の水循環に戻されます。
沈砂池(ちんさち)
下水処理場に運ばれてきた下水は、沈砂池と呼ばれる池に入ります。下水の中の比較的大きなごみや砂はここで取り除かれます。
大きなものから先に徐々に取り除き、綺麗にしていく仕組みです。
最初沈殿池
沈砂池でごみが取り除かれた水は沈殿池へ流れていきます。ここでゆっくりと流れていく間には沈砂池で取り除かれなかった小さなごみなどを沈ませる処理をしています。
反応タンク
最初沈殿池を通過した下水は反応タンクへ入っていきます。
反応タンクでは、活性汚泥(バクテリアや原生動物のような微生物の集まり) を水に混ぜた後に空気を吹き込んでいきます。
活性汚泥は空気を栄養として活動しているので、増殖することによって水が綺麗になっていきます。
最終沈殿池
反応タンクで増殖した活性汚泥をこの最終沈殿池で沈ませ、水はさらに綺麗になっていきます。
高度処理
水の汚れとなる窒素やリン、有機化合物などを取り除く処理をここで行う場合があります。
消毒施設
最後に、最終沈殿池の上澄みの水を消毒します。ここで消毒して綺麗になった水が下水処理水として河川や海に放流されます。
汚泥処理施設
最初沈殿池や最終沈殿池で発生した汚泥は汚泥処理施設へ送られます。無駄なく有効利用されています。
自然に返すのは不可能
動画を投稿したりにゃボコさんによると、トイレは池に直結しているそうです。しかし、前述でご説明した通りに下水処理は池に直結していません。
下水処理では高度な処理を施しています。消毒などをしているので、どの工程に入っても金魚は生き残ることができません。
池に直結する下水は雨水などがそれにあたり、分流菅と呼ばれる下水管を利用している自治体や地域などに限って可能となります。
基本的に家庭の汚水は必ず下水処理施設に送られますので、池に直結しているという認識は間違っていると言えるのです。