いつまでも無くならない幼児虐待問題。記事を見る度やるせない気持ちになります。去年3月にも東京都目黒区でも幼い命が奪われました。船戸結愛ちゃん(5歳)。尊い命が虐待により失われました。保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親の雄大被告(34)。被告に対し東京地裁での裁判員裁判で、遂に判決が言い渡されました。
身勝手な父親への判決
結愛ちゃんが残した直筆のノートは世間に衝撃を与えました。
「パパとママにいわれなくてもしっかりとじふんからもっともっときょうよりかあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるしてくださいおねがいしますほんとうにおなじことはしません ゆるして」「きのうぜんぜんできなかったこと これまでまいにちやっていたことをなおす これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいだから もうぜったいやらないからね ぜったいやくそくします」
これらの内容は『反省文』として書かされていたのです。わずか5歳の結愛ちゃんは毎朝4時頃の起床を課され、被告である父親から平仮名を書く練習をさせられていました。
勿論虐待はこれだけではありません。結藍ちゃんへの虐待は少なくとも2016年頃から繰り返し行われていたと見られています。日常的に行動を強制させる事に留まらず、身体的な暴力もあり、真冬の寒空の下で裸足にパジャマ姿で保護された事もあったのです。幾度となく保護された結愛ちゃんには唇、両膝、腹部に傷やアザがあったそうです。結愛ちゃん本人もその傷に対し「パパにやられた。ママもいた」と話した事もありました。しかし、被告である父親は二度も書類送検されたにも関わらず不起訴処分となってしまったのです。保護センターや保険センター、児童相談所が動いていましたが、結愛ちゃんへの虐待は止まるどころかエスカレートしました。
父親は結愛ちゃんに対し執拗にダイエットするよう指示をしました。5歳の女児にダイエットが必要でしょうか。結愛ちゃんの食事は1日1食など過度な食事制限をさせられました。勿論体重は激減。更に2月のまだ寒い中、父親は風呂場で結愛ちゃんに水のシャワーを浴びせるなどし暴行を加えて負傷させました。
結愛ちゃんは3月2日、肺炎による敗血症で亡くなりました。父親の119番通報を受け救急搬送され、同日夜搬送先の病院で死亡が確認されました。司法解剖の結果、結愛ちゃんの足には重度の凍傷。更に結愛ちゃんの臓器が正常な5歳児よりも5分の1も小さく萎縮していたそうです。結愛ちゃんは2月末ごろに父親から受けた暴行をきっかけにほぼ寝たきり状態となり嘔吐を繰り返していたのです。
結愛ちゃんが死亡した翌3月3日。父親は2月末ごろに女児を殴り負傷させた障害容疑で逮捕されました。警察は、継続的な虐待があったとみて捜査を続けました。そして6月6日、両親が十分な食事を与えず、また医師の診察を受けさせずに放置し、結果死亡させたとして、警視庁は両親を保護者責任遺棄致死の容疑で逮捕しました。
東京地裁で行われた裁判の際に、父親は「しつけをしなかった実の父親がとがめられず、自分がとがめられるのは納得できない。児相は親が悪いと思っているだろうが、子供に問題がある」などと証言しましたが、起訴内容を概ね認めていました。そして、東京地裁は父親に懲役13年(求刑懲役18年)という判決を下しました。父親は最終意見陳述で「本当に申し訳ありませんでした」と泣きながら謝罪しましたが、検察側は「食事制限で飢えの苦しみを与え、被害者をいじめ抜いた。未来を奪われた苦痛と無念を考えるべき」と述べ、病院に連れて行かなかったことを「自己保身」とし、厳しい意見を述べました。
命と引き換えに
結愛ちゃんの小さな命が無碍に奪われたあまりにも残忍なこの事件は、判決が出た事により終わったように見えます。しかし、奪われた命は重く二度と帰っては来ないのです。そして、今もまだ結愛ちゃんのようにどこかで虐待を受けている子供たちが後を絶たない状態なのです。子供を守るはずの大人達の身勝手な事件はいつになったら無くなるのでしょうか。