青い海に囲まれた島『リトル・ロス島』
『クルーザーを持っている。』『別荘を持っている。』
など、お金持ちステータスになりうる持ち物は数多あるが、「島を持っている」と言える人はめずらしい。というのも、「島」と胸を張って言えるレベルの島を買うというのは、通常億単位のお金がかかるもの。並みの道楽者には手が出ない。
しかし、スコットランド南西沖にあるリトル・ロス島は面積も29エーカー(11万7000平方メートル)で青い海に囲まれた非の打ちどころのない美しい島だが
なんとエジンバラの2寝室つきのアパートと同じ値段で売りに出されているという。
島、4700万円で買いませんか?
面積29ヘクタール、緑あふれる公園と19世紀に建てられた灯台があり、そしてもちろん目の前は見渡す限りの大海原と美しい海岸線という堂々たるリトル・ロス島。
そんな島が、なんと約4700万円(428000ドル)という価格で売りに出されているのだ!!!
この件を報じている、アルゼンチンの「La Naci?n」、イギリスの「TheTimes」などによると、リトル・ロス島は紺碧の海とあふれる自然が魅力的な、小説でいえばまさしくヴァージニア・ウルフ『灯台へ』の世界である。この小説で主人公家族が夏の別荘としていたのは、同じくスコットランド、ヘブリディーズ諸島のスカイ島だが、この島も美しさでは負けてはいない。
リゾート地とみまごうばかりの島だが、なぜそんなに安いのかというと少しばかり「いわく」がある。
それは、いわゆる・・事故物件なのだ。
島で起きた『殺人事件』
リトル・ロス島は、50年以上前に起きた殺人事件によって世間の注目を浴びるようになった。
1960年8月、デヴィッド・コリンが父と釣りを楽しむために島に遊びた来たところ、当時の灯台守ヒュー・クラークの遺体を発見したらしい。ベッドの上で他殺されていたことはすぐにニュースになり、犯人は捕まったものの刑務所の中で自殺してしまった。
もともと灯台守主任と副灯台守、その家族16人の家があり、いずれも自給自足をして暮らしていたと言われている。真っ白な灯台を囲んだ家族の身に起きた殺人事件によって、この島は不吉な場所というイメージがつき、家族の霊が現れる、近づくと気分が悪くなるなどの噂も。
噂は真っ赤なウソ!!!
しかし、殺人は確かにあったかもしれないが、事件をとりまく悲劇的な雰囲気は島全体には蔓延していないというコリンが主張。
「ぼくは今でもリトル・ロス島を定期的に訪れていて、まさに殺人があったその部屋でときどきお茶を楽しんだりしているよ」とコリンは言う。
ADVERTISEMENT 「寂しさは漂っているけれど、幽霊や恐怖感などない。残念なのは、ひとつの命が失われたことと、ここが崩壊し始め、しまいには失われてしまうことだ」
塔はアラン・スティーヴンソンが設計し、1843年に建設された。ギャロウェイ岬やサウザーネスなどのほかの灯台との格差を縮めようとして建てられたもので、1世紀以上のちに殺人が起こるまで有人の灯台だった。
現在は、北方灯台理事によって所有、管理されていて、年間を通して定期メンテナンスが行われている。資産リストの中には、6つの寝室、B類(スコットランドの建物指定の分類)のコテージや中庭は入っているが、灯台そのものは売却の対象とはなっていない。そのほか、3つの荒廃した納屋や、太陽光パネルと小型の風力タービンによる完全自家発電システムも対象で、未来のオーナーは、ボートかヘリで島にアクセスすることになる。
開発の可能性を秘めた島
不動産会社のデイヴィッド・コリーは、ダムフリースとギャロウェイ沖に位置するリトル・ロス島は、途方もない開発の可能性を秘めているという。
1900年代には、島には灯台守主任と副灯台守、その家族16人の家があり、小規模ながら酪農や養豚を営み、ささやかな家族社会の生活の糧をまかなっていたらしい。
「きちんと手入れをすれば、島の建物はすばらしいものによみがえるはずです。リトル・ロス島は、もう一度、次世代が楽しめる完璧な隠遁の島となるでしょう。
プライベートな島がこんな手ごろな値段で売りに出されることはめったにありません。特に、居住可能な家や付属の設備がついている島などまずありません。
ADVERTISEMENT リトル・ロス島には、わくわくするような期待感があります。イギリスじゅうのみならず海外からもたくさんの問い合わせを期待しています」
この島を買うと、もれなくヒューとロバートが暮らしていた6部屋のコテージと緑あふれる公園がついてくるが、灯台は含まれない。電力供給は太陽光(オフグリッド)と風力発電のみで、アクセスはプライベートボート、またはヘリコプターとなっている。
一つの事件によって「気味が悪い」と見放されてしまっていた島が、もう一度、人の手によって愛される場所になる島になるかもしれない。
4700万円で島の持ち主になってみませんか?