日本政府は、新型コロナウイルスによる肺炎が発生した中国・武漢市(湖北省)への民間チャーター機の往路で、中国政府への緊急援助物資を運んだのですが、これに対して 中国のネット上では感謝の声が広がっているようです。
中国側から求めがあった物資を送り
外務省によると、茂木敏充外相が 26日にあった中国の王毅(ワンイー)外相との電話協議で協力を申し出て、中国側から求めがあった物資を送りました。昨年はエボラ出血熱が流行するコンゴ民主共和国へ防護服を支援するなど、政府は感染症の流行に見舞われた地域への緊急援助を続けているという。
中国湖北省から退避する日本人らのためにチャーターした全日空機で輸送し、湖北省武漢市の武漢天河空港で引き渡しました。日本の自治体や民間からの支援も届き始め、中国国内ではインターネット上で「日本人よ、ありがとう」「恩を忘れない」などの感謝の声が広がっているといいます。
日本が中国政府の要請を受けて提供したのは、約1万5000枚のマスクと2000枚の医療用マスク、50着の防護服、8000個のゴーグル、5万組のゴム手袋。東京都が用意した2万着の防護服もあわせて運んだそうです。
去る28日深夜に 武漢に到着した第1便には、中国向けに日本政府が手配したマスク約1万5千枚や手袋5万組、防護眼鏡や防護服などが積み込まれました。また 30日に到着した第2便も、地方自治体からの支援物資を運んだそうです。
15万を超える「いいね」がつけられた投稿も?
28日午後には、武漢市と友好都市の関係にある大分市が医療用マスクを送り、その箱に「武漢加油(がんばれ)」の紙が貼られていたことや、大分市が財政的に余裕がない中で支援に乗り出したことを中国共産党機関紙の人民日報が28日に報じ 伝えた記事は微博で瞬く間に拡散したという。
日本政府からの支援が届いたというニュースは、中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」で広く拡散されており、15万を超える「いいね」がつけられた投稿もあるそうです。全国的に交通機関の停止や商業施設の閉鎖などが相次ぐ苦境の中でも 明るい話題として称賛を集めているようです。
「中国語の“頑張れ”には本当に心がこもっている」「裕福でないのに、こんなにたくさん寄付してくれるなんて」「大分市に行ってお礼を言いたい」「中国語で書いてくれるなんて」「心の底からありがとう」などと感動を伝える書き込みが相次いだそうです。関連する投稿の閲覧総数は、29日までに3億8千万回にも上っているそうです。
大分市民などから物資の支援や寄付金の申し出も
2008年の四川大地震で日本の救援隊がいち早く現地入りしたことに触れ「あの時も助けに来てくれた」と感謝する投稿や、中国人客の減少で苦境に陥っている日本の観光地を励ます書き込みも見られました。
大分市は29日にも 防護服200着を武漢市に送りました。マスクを送った際、他に不足している物資を尋ねる手紙を添えたところ、武漢市側から要望があったという。防護服は地元医師会の協力を得て集めました。
大分市には市民などから物資の支援や寄付金の申し出が相次いでおり、市は今週にも受け入れ態勢を整える予定だそうです。担当者は「反響の大きさに驚いています。武漢は長く交流してきた友人のような存在で、早く平穏な生活に戻ってほしい」と話しました。