韓国からの外国人投資家の「資本逃避」が本格化しています。株安とウォン安が再加速するなか、実体経済でも輸出が12カ月連続で前年割れし、低成長について英フィナンシャル・タイムズ紙が「半世紀で最悪の時期」と評する惨状です。
10日付けの為替レートは、1円が10.97ウォン。1ドルが1,190.54ウォン。
ちなみに、1円が0.01ドル付近を推移していることを見ると、如何にウォンの信頼価値が落ちているのかがお分かりいただけるでしょう。
外国人投資家の売り越しは、11月7日から今月5日まで実に21営業日連続を記録し、6日にようやく買い越しに転じました。サムスン電子やSKハイニックスなど主力銘柄も外国人の売り圧力は強く、代表的な指数の韓国総合株価指数(KOSPI)も節目の2000近辺で総じて軟調に推移しました。
一時は落ち着いていた外国為替市場でも再びウォン安ドル高が加速し、危険水域の1ドル=1200ウォンに迫ろうとしています。
韓国メディアで「セル・コリア(韓国売り)」「コリア・エクソダス(韓国脱出)」と報じる外国人売りが始まったのは今年8月からです。これは、日本政府が韓国を輸出管理上の優遇国である「グループA(ホワイト国から改称)」から除外すると発表した時期にあたります。
文政権は8月下旬、日本への対抗措置として、輸出管理とはまったく関係のない、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を発表しました。これらが市場を刺激した可能性があるとみえます。point 288 | 1
韓国産業通商資源部によると、11月の輸出額は前年同月比14・3%減でした。12カ月連続でマイナスを記録し、直近1年間の累計輸出額も、2017年12月~18年11月と比べて10・1%下回っています。年間の輸出減少率で2桁台の減少を記録するのは09年の通貨危機時以来だといいます。
韓国の輸出の7割以上を占める半導体、自動車、機械、石油化学、石油製品の主要5品目とも大幅減と“全滅”状態にあります。韓国、大手新聞社の朝鮮日報は、半導体は台湾やタイ、日本との競争激化、ディスプレーは中国製パネルの供給増の影響が出ていると報じました。韓国が独り負けに等しい状態です。
このような、窮地の韓国経済について、英フィナンシャル・タイムズ(電子版)が11月29日に「韓国は半世紀で最悪の時期を迎えた」と報じました。
韓国銀行(中央銀行)は今年の経済成長率を1月時点の2・6%から2・0%に下方修正しましたが、1%台まで落ちるとの見方もあります。20年の成長率も2・3%と予測しており、2年連続で成長率が2・5%を下回るのは記録がある1954年以降で初めてのことだといいます。
また、デフレ懸念も強まっています。2日に統計庁が発表した11月の消費者物価は、前年同月比0・2%増。4カ月ぶりにプラスだったものの、中央日報(日本語電子版)によると、11カ月連続で消費者物価上昇率が0%台だったのは、65年の統計開始以降で初めてだとのことです。
記録破りの経済低迷。なんと、前出の産業通商資源部は20年1~3月には輸出はプラスに転じると予測しています。韓国政府も低水準の物価について「供給サイドの要因による一時的減少だ」としており、明らかに来年の総選挙で与党にマイナスとならないよう、操作しているように見えます。
このまま、1997年の時のような通貨危機(国家破綻の危機)に陥り、国際通貨基金 (IMF) からの資金支援の覚書を締結することになるのでしょうか。
隣の国、韓国。日本でも貿易が盛んなことから、他人事ではありません。