最近の企業は即戦力であることを大学生に求め、それに見合う人材であることを採用面接などで大学生がアピールをすることになります。しかし、即戦力といっても、本当に最初から即戦力であるケースは少なく、たいていは新人教育が必要となります。専門的な職業であっても、企業に勤めることに際して、社会人としての基本的なマナーやルール、会社内でのあるべき姿などを新人教育の部分で叩き込むことになりますが、結局のところ、新人が伸びるかどうかは会社次第といったところです。そもそも新人教育としてどのようなことをしていけばいいのか、実際わかっていない上司も多く、勘違いされるケースもあります。
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具体的な新人教育として、まず入社前の研修があります。入社前の教育の意味としては、内定者に辞退されないようにするため、入社に対しての不安を取り除くためというのがある他、入社のタイミングではこの水準にまでなっていてほしいという意味合いもこめられています。例えば、通信教育を使って業務に関する知識を身につけてもらうことや事前に集まってもらって業界に関する知識やマナーをつけてもらうこと、課題を出し、それについてのレポートを出してもらうことなどをして、そこの部分でどのような人材かを吟味します。そうしたものを見て、入社後の方針を決めていくことになります。
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ここで注意したいのは、入社してから態度を豹変させることです。内定者に辞退されたくないから下手に出て、入社を正式にしてから強気に出るというようなことでは、早期離職につながってしまうだけでなく、新人教育にそこまで本気ではないことを示しており、既存の社員にとっても不満が出てきます。会社に対し、誰からの信頼も獲得することができなくなります。このため、入社してからの研修ではもう一度似たような研修をこなすことになりますが、この時には、講義形式で行うのではなく、ロールプレイングなどで学び、実際にこの職場で働くことをイメージできるようにしていくことが求められます。
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こうした入社後の新人教育を導入教育と言います。会社のことをすべて認識してもらい、知識をつけてもらうこと、歴史を知ることが前提となります。ここから社員として扱うことができ、給料が発生していることを植えつけさせるといったことは必要です。そのため、積極性を促すような新人教育が必要です。講義形式だと常に受身となってしまい、いざと言うときに積極性が出なくなります。その積極性を失わせるような新人教育は最悪であり、これでは新人も伸びません。ここの場面では失敗も大いに認め、なぜその失敗をしてしまったのか、それを解決し、次につなげていく作業が必要となります。
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現場での新人教育はそうしたことを行ってからということになります。しかも、希望する部署で働かせるのではなく、一通りの部署を経験させる必要があります。それは、希望する部署以外にも魅力的な仕事があるというのを知ること、すべての部署が稼動することで会社が成り立っていることなどを学びます。そして、一連の部署の研修を終えると、いよいよ職場での教育、OJTとなります。ここからは教育係となる社員に任せる形になりますが、社員は通常の業務と平行して新人を育てなくてはならないため、負担になるだけでなく、人によってその方針にバラつきがあるため、軸となる方針を事前に決めなければなりません。
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研修をすれば新人が育つとか、現場に出せば新人は勝手に伸びるというのは昔の話であり、適材適所で働いてもらうこと、そして、希望を持って会社で働いてもらうことを考える場合に、新人教育はとても重要であり、軽視できない部分となります。