ほとんどの方が理容室というと男性が行くところというイメージで、美容室というと女性が行くところというイメージを持っています。
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ところが両者は業務内容が明確に違っていて、両方の違いは男女ではなく法律によって規定された業務内容がきちんと示されています。規定されている具体的な内容は理容は頭髪の刈り込みとカットやシェービングに加えてそれらに付随することなどで容姿を整えることとあり、美容は化粧や結髪とパーマなどにより容姿を美しくすることとあります。
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つまりカットは本来理容の仕事ですが、それにはそれぞれの仕事のなり立ちに関係しています。理容の仕事は断髪令がしかれた文明開化の時代にさかのぼることができますが、その頃女性はまだ髪を結うのが普通でカットをして切りそろえるという考え方がありませんでした。そのため初めは法律も区別がなかったのですが、徐々に業界が成熟してきたのを機に単独で理容師法と美容師法にわかれたのが昭和32年です。政府はこうした古い規制を改革しようと国家戦略会議で検討していて、理容師と美容師の混在店の認可が挙げられています。店舗を開業するときはそれぞれに開業届を出さなくてはならないため、美容室と理容室が一緒に開業することはできません。街中を見てもわかるように美容室はすでに飽和状態で、全国に25万軒前後が存在していて横ばい状態となっています。point 431 | 1
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一方に理容室は10数年前から全国で14万件前後となっていて、後継者不足に悩んでいます。規制改革で両方の業界の垣根が取り払われたら、美容業界の人手不足も理容業界の後継者不足も一挙に解決します。欧米など海外では美容と理容といった住み分けはありません。人手不足の解消のアイデアのひとつに外国人労働者を雇うことが考えられますが、海外と違い美容と理容とわかれている日本ではあまり馴染むことができません。美容室でカットというごく当たり前のことが法律上では実はグレーゾーンの行為で、美容行為に準ずる行為又は付随する行為として通達でギリギリ認められているというのは海外では理解不能な行為です。まるで男女差別のようなルールが今日に至るまで生き残ってきたのは、国会審議を経るわけではない役所側で決め放題の通達だからです。point 419 | 1
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他にも首をかしげるようなルールは場所の棲み分けで、理容師が美容室で働いたりまたその逆も認められていません。ひとつの店舗で美容室と理容室を兼ねることも認められていませんし、届けを出したところ以外で営業することもできません。国内ではさほど認識されていませんが日本の技術は世界でも大変評価が高く、海外から観光できた外国人がわざわざ立ち寄っていくというケースが大変増えてきました。評価が高いわけは腕の良さに加えて衛生面といった清潔さです。そんななか明らかに合理性が欠如している規制に穴が開けることができれば、海外からもっと評価され様々な問題が解決していくことになります。point 351 | 1
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日本で美容業界の修行をしたい外国人が増えてきていて、専門学校に入学して国家試験にチャレンジし見事合格する人たちがいます。ところが言語制約で対応しきれないとか、現行の就労資格制度では働くことが許されないためせっかく資格を取得しても母国に帰国しなければならないのが現状です。外国人が一定の条件のもとで働けることを解禁すれば諸問題が解決できそうですが、安価な外国人労働者が流入してくると日本人の仕事が奪われる危険性があると反発する意見がいまだ多くあります。本格的な規制改革はまだまだ先のことになるかもしれませんが、理美容業界にとって少しでもいいことならば改革を推し進めて明るい未来を切り開いていくべきです。point 374 | 1