体毛全体が黒い黒犬は、日本でもさまざまな犬種で数多く見かけますが、最も目立つのはやはり「黒ラブ」こと黒い毛のラブラドールレトリバーでしょう。盲導犬として知られる犬種だけに、性格が穏やかで優しい上とても人懐っこく非常に賢いことから、盲導犬以外でも介助犬や災害救助犬としても活躍しています。同じ犬種でも、体毛色の違いによって性格が微妙に違うと言われていますが、そのことは、同じラブラドールレトリーバーでも黒やチョコレートカラーの種類は盲導犬としてはほとんど見かけることがなく、大抵の場合、イエローと呼ばれる薄茶色の種類が盲導犬として頑張っているということからもわかります。
写真:mag.
賢さや人懐っこさ、各種訓練に対する学習能力の高さは、イエローのラブラドールレトリーバーとほとんど変わらないものの、黒ラブやチョコラブには、盲導犬になるには困難な、ある特徴が際立ってると言われます。それは、イエローラブよりも格段に活発で、陽気で遊び好きというところです。盲導犬の場合、どれほど遊びたい場面に出くわしても、仕事中はまったく動じることなく目の見えない人を完ぺきにサポートしなくてはなりません。いかに優秀な黒ラブやチョコラブであっても、犬にとって最も大きな喜びの一つである遊びを我慢するというのは並大抵ではなく、多大なストレスを与えてまで盲導犬として訓練するよりはということで、ラブラドールレトリーバーの中では、一般的に最も落ち着いた性格を持つイエローラブにその役目が任されているといった現状となっています。 anicom-sompo. co. jp
写真:peco-japan.
盲導犬には向かない快活さは、普通の飼い主にとってはこの上なく嬉しいポイントで、子犬時代から賢く明るく、飼い主以外にも喜んで接する黒ラブやチョコラブは、数ある犬種の中でも、最も飼いやすいタイプと言えます。同じレトリーバーでも、体毛ふさふさのゴールデンの場合、陽気で快活なのは同じですが、遊びに夢中になり過ぎると歯止めが効かなくなるケースもありますが、黒ラブの場合、人の気持ちを読み取る能力が高く、夢中になって遊んでいる時でも制止にはサッと応じる行儀の良さを備えています。その気遣いある賢さもあって、黒ラブは、盲導犬にはあまりいなくても、聴導犬や介助犬、災害救助犬として活躍しています。 com
写真:tsunayoshi.
黒くて賢く、性格も穏やかで飼いやすいといわれる洋犬では、ほかに「ジャイアント・シュナウザー」がいます。メスであってもおじいちゃんに見えるような眉毛とヒゲのように見える顔の体毛がトレードマークの犬種です。日本ではミニチュア・シュナウザーのほうをよく見かけますが、濃淡の差こそあれ、グレーの体毛が基本というイメージがあります。ジャイアント・シュナウザーにも、グレーやホワイトの個体もありますが、印象的なのはやはりブラックの体毛で、ミニチュア・シュナウザーの2倍以上大きな犬種だけに、体毛をあまり刈り込まずフサフサにしている場合さらに巨大に見え、威厳のあるヒゲが醸し出す風格からも、迫力ある黒犬といった風情があります。そんな威圧感ある見た目でありながら、穏やかで優しい性格ということで、黒づくめの紳士といったムードも漂わせています。 tokyo
写真:pug1.
同じ洋犬の黒犬でも、ジャイアント・シュナウザーとはまったく雰囲気が違うのがヤンチャでキュートな「黒パグ」です。大きさといい、風貌といい、同じ「犬」という大雑把なカテゴリで分けてはいけないようなムードもあります。パグも、薄茶色のフォーンと呼ばれる色の個体と黒パグとでは、かなり性格が違います。 net
写真:pug1.
フォーンの大人パグは、一般的に落ち着きがあり、人懐っこく賢いものの、穏やかという印象ですが、黒パグの場合、快活な面が強く走るのが好きで、ドッグランなどで放すと元気よく駆け回り、さながら黒い弾丸といった俊敏な動きで見る人を驚かせます。黒パグは胸に白い星のような白い毛がちょこっと生えている箇所があり、個体によっては歳と共に白い毛が増えるケースもあり、厳密な黒犬とは呼べない面もありますが、黒犬の中でも黒ラブと匹敵するほど飼いやすい犬種と言えます。 net