父親刺殺事件
18日、慶応大学の男子学生が自分の父親の腹をナイフで刺し逮捕される事件が発生しました。
現場は東京・大田区のマンションです。
刺された父親は病院に運ばれましたが、まもなく死亡しました。
殺人の容疑で逮捕されたのは、慶応大学に通う鳥屋智成容疑者(20)です。
警視庁によりますと、18日午後9 時半ごろ、帰宅した多可三さんが鳥屋容疑者の弟(17)に対し、説教を始めたということです。
弟への説教を聞いた鳥屋容疑者は、自分の部屋からリビングに出て「やめないなら刺すぞ」と言い、犯行に及びました。
取り調べに対し鳥屋容疑者は、「感情的になって刺したのは間違いない」と容疑を認めているといいます。
鳥屋容疑者について
鳥屋容疑者をよく知る友人らの話から新たなことが分かってきました。
鳥屋容疑者と同じ中学で空手部だった同窓生は「人を殺すような人じゃない。信じられない」と話しました。
一方で、中学時代には部活終了後、胴着を脱ぐと鳥屋容疑者の体にあざがあったことがあり、理由を尋ねると父親に殴られたことを明かしていたといいます。
また鳥屋容疑者の中学、高校、大学時代の別の友人は、「父親のことを『昭和のお父さん』と言い、ごく少数の親しい友人には父親が兄弟や母親にまで暴力をふるうことを明かしていた。数学はできたが、文系科目が苦手で、いつも留年ギリギリ。父親と成績のことで殴り合いのけんかをしたと話したこともあった」と語っています。
空手部の後輩は「部活後に遊びに誘ってくれたり、カラオケでは当時流行っていたアニメ『金色のガッシュベル』の主題歌を歌ってみんなを盛り上げたり、後輩思いのいい先輩でした」と話しました。
しかし、空手部の同級生によると、いつも優しく明るいだけではなかったといいます。
「明るいときと暗い時の落差が激しい感じがあった。高校時代に彼が『自分はどちらか言えばネガティブ。友達を作るのが苦手なんだよね』と話すのを聞いた。大学に入ってからは『自分は営業系の仕事には向かないから、公認会計士を目指す』と話していた」と語りました。
さらに同級生の話によると、「大学に入ってからはスーパーのレジ打ちのバイトをしながら、大学と公認会計士資格の学校に通っていました。大学1年のときは元気な顔を見せていましたが、昨年の2月ごろに会ったとき、『資格の勉強についていけない』と落ちこんでいた。昨年の4月からは学校であまり見ないようになり、成人式にも出てこなかった」といいます。
別の同級生は「親にお金を払ってもらって資格学校に入ったがいいが、勉強についていけず、もうやめたいと話していた。彼の父のことは同級生なら何となく知っていますが、資格学校をやめたいなんて言えば、鉄拳が飛んでくるでしょう」と話します。
本人が友人や知人らに語った内容によると、父親によるDVが少なくとも中学時代から行われていたように思われます。
殺された父親
殺害された父親の鳥屋多可三(58)さんは、会社経営をしていました。
2011年にブルースカイリビングサポート株式会社を設立し、代表取締役を務めます。
不動産オーナーに向けてのコンサルティング業を行う会社のようです。
自身も息子と同じ慶応大学出身で、絵にかいたようなエリートコースを歩んできたと思われます。
また数多くの資格を取得しており、業界では知る人ぞ知る人物であったともいわれています。
自身が成功してきた分、息子たちに厳しく接してしまったのか、それともストレスから暴力に走ってしまったのか、それは定かではありません。
いずれにせよ鳥屋容疑者は、父親からの虐待に嫌気がさしていたのは間違いないようです。