仮面ライダーシリーズは、第1作目の放映が1971年にスタートしてから現在までに、およそ20作品が作られている大人気の特撮ヒーロー番組です。その記念すべき第1作目には、現在でも根強い人気を誇る仮面ライダー1号と共に、仮面ライダー2号が登場していたことはご存知でしょうか。仮面ライダー1号は本名の本郷武も含めて大変有名で、その役を演じていた俳優の藤岡弘(現在では藤岡弘、)は、現在でもバラエティー番組やCMでよくその顔を見る人気者となっています。それと比較すると仮面ライダー2号、本名一文字隼人というキャラクターの知名度はそれほど高くないですし、その役を演じた佐々木剛のことをよく知らないという人も多いでしょう。しかしそんな佐々木剛の人生はホームレス生活を経験したほどの、ある意味でドラマよりもドラマチックだと言える、とても壮絶なものだったのです。
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佐々木剛は1968年に芸能界にデビューし、その後すぐにいくつかのドラマに出演して人気を得ることができました。そんな彼の俳優人生の大きな転機と言えるのが、1971年に仮面ライダー2号の役を演じることになったことです。実は仮面ライダー2号の登場は最初から予定されていたものではなく、藤岡弘が撮影中のバイク事故で大けがを負ってしまい、急遽その代わりが必要となったために決まったことでした。佐々木剛は以前仮面ライダーのスタッフと一緒に仕事をしていたことからその役の打診を受け、当初は藤岡弘の役を奪いたくないという理由で難色を示していましたが、彼が復帰するまでという約束で出演することになったのです。その仮面ライダー2号は、今では当たり前となったライダーへ変身する時のポーズを始めて行い、予想以上に大きな人気を獲得することができました。しかし、藤岡弘がけがからの完全復帰を果たすと、佐々木剛は当初の約束通り主役の座を彼にバトンタッチしました。その後はゲスト的な形で仮面ライダー2号が作品に登場することは何度もありましたが、佐々木剛は主な活躍の場を時代劇や刑事ドラマへと移すことになります。point 490 | 1
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そんな佐々木剛にとって最大の事件と言える出来事が起こったのは、彼が34歳の時のことでした。泥酔してストーブをつけたまま眠ってしまったために、自宅アパートを全焼させる火災を引き起こしてしまったのです。その際に彼は全身の大火傷を負ってしまい、生死の境をさまよった後に何とか一命を取り留めることができたのですが、顔に負った火傷のせいで俳優として生きることを断念することになりました。しかも治療にかかった費用のために大きな借金まで抱えてしまい、その返済のために警備員や焼き芋屋などの仕事を転々とする日々を送ることになります。
そんな生活は彼の心を荒ませてしまい、家事の前に結婚していた奥さんと離婚した後に、家ではなく自動車の中で寝泊まりするホームレス生活を送り始めました。彼のホームレス生活は、手に入れたお金をすぐにパチンコやお酒で使い果たすという自暴自棄なものでしたが、そんな生活がしばらく続いた後に彼の心に変化が訪れ、もう一度俳優として生きて行きたいと思うようになりました。心機一転した彼は、その後の一時期は日光江戸村で住み込みをしながら俳優活動を行い、さらに昔の俳優仲間の助けもあって、東京に戻って舞台などで俳優としての活動を再開することができたのです。point 595 | 1
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そして、生活の安定を図るため、また仮面ライダーの時からのファンとの交流を図るために、2012年には東京都の板橋区に居酒屋をオープンさせ、現在でもそこの店主として日々料理に腕を振るっています。そのお店の名前はバッタもんと言うのですが、それはバッタの改造人間である仮面ライダー2号を演じた彼らしいネーミングだと言えるでしょう。一時はホームレスにまでなってしまっていた佐々木剛ですが、現在は充実した日々を送っているのです。point 208 | 1