週刊新潮によると、順天堂大学医学部附属順天堂医院では半世紀ほど前に新生児の取り違え事件が起きていたが、病院側はその事実を隠していたそうです。
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新生児の取り違え事件の当事者とその母親が来院してDNA検査をしたところ、親子関係が存在しないことが分かりました。
写真:ドクターマップ
被害者の母親から「血のつながりがないかもしれない」と告げられて、DNA検査の結果、親子の可能性が0%だと判定されたため、分娩を行った順天堂医院に確認したところ問題が発覚さました。都内在住の被害者男性に対して病院側は取り違えを認めていたそうです。
「男性と母親は顔も似ていなければ、性格も違っていて、ご両親の離婚も男性の血液型のせいだと、だれかに告げられたこともあったんだそうです」(関係者)。
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順天堂医院は取り違えを認めた後に事件の経緯を順天堂公式ホームページで説明し、「関係者の皆さまに心よりおわびします」と謝罪しました。
写真:Pandora.TV
また、取り違えた相手はある程度絞られているとのことだが、「専門家の意見を基に、50年以上経過後にお知らせすることによって、現在の平穏な生活を乱し、取り返しのつかないことになるのではないかと考え、お知らせしないことといたしました。」としています。
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新生児の取り違え事故
写真:niconico
順天堂の関係者によると、「その男性は順天堂医院を訪れて、本当の親に会いたいと訴えたのですが、順天堂側はそれを拒んだのです。しかも、“取り違えられたもう一方は平穏に暮らしている可能性が高いのに、それを壊してはいけない”というのがその理由です。そして、男性に金銭での解決を提案し、和解金を支払う代わりに、取り違えがあったことを一切口外せず、もう一方の相手を探さないことを約束させた。最終的に男性は押し切られてしまった格好です」
専門家たちの意見
順天堂が男性へ対応に関して倫理的にどう評価されるのか、医療事故に詳しい田村勇人弁護士に尋ねてみた結果、「病院側が勝手な判断で患者の個人情報を開示すると、情報を曝されたほうの家族から、損害賠償請求をされる可能性があります。それを避けたいのでしょう。また、取り違えの事実が明るみに出て、もう一方の家族が名乗り出た場合、病院側はそちらの家族にも賠償金を払わなければいけなくなる。単純に倍のお金がかかりますからね」と伝えました。
続いて、「その男性の方が、もう一人を見つけたいというのであれば、病院はできるかぎりの協力はして然るべきだと思います。法的に義務が生じるかどうかは判断しかねますが、人としてというか、倫理的にはそうすべきではないでしょうか」と付け加えました。
写真:wheatbaku.exblog.jp
精神科医の和田秀樹氏によると、「それなりに生きたうえで取り違えの事実を知らされ、本当なら豊かな家庭でちゃんと教育を受けられたかもしれないのに、と思ったときには、大変なショックや取り返せないという怒りを覚える可能性があります」と指摘しつつ、「親に似ていない子や、兄弟で一人だけ顔が違う子がいたりすると、取り違えでなくても、夫が妻の浮気を疑ったりしてしまいかねません。また、人間は感覚的に、絶対に血がつながっていると思える子には愛情をかけられますが、顔が似ていなかったりすると、愛情が疎かになってしまう可能性がある。そういうふうに育てられると、無力感に支配されかねません」と話しました。
そして、「たとえばレイプ被害を受けた人が、訴えても全然相手にされなかったりすると、その人のトラウマが大きくなったりする。取り違えは表向き“ないこと”になっているのでガイドラインがなく、病院側はプライバシーを理由に突っぱねられるのだと思いますが、精神科医として言えるのは、“知りたい”という思いを拒絶されることで、さらにトラウマになってしまう、ということです」と伝えました。
順天堂ほどの名門の大病院であれば、そのことを知らないはずがありません。
被害者男性の言葉は?
写真:新潮社
週刊新潮が被害者男性の自宅に訪ねた結果、
「そこまで知ってるの!?」と驚く姿を見せました。しばし躊躇したのちに、
「そこまでご存じなのなら、もう隠せないですよね。たしかに、あなたがおっしゃる通りです。もちろん、本当の親がだれなのか知りたいし、知らないままで生きていくなんて、あまりに苦しいと思っている。もう80歳近い母も、本当の息子に会いたくて仕方ないんだけど、このままでは間に合わないかもしれません。でもね、順天堂との約束があるから、あなたにこれ以上は喋れないんです」と話してくれました。
まとめ
写真:Gooブログ
取り違えられた相手についてはある程度絞られたが、現在の平穏な生活を乱し、取り返しのつかないことになる恐れがあるとして、伝えていないそうです。ただ、本人や家族から問い合わせがあれば、「誠意をもって適切に対応する」と病院側が話しています。