みなさんは白い髪や肌をもつ「アルビノ」の方たちを存じでしょうか。今回は日本人のアルビノについて紹介していきます。
アルビノとは?日本人もいる?
そもそもアルビノとは、どういうものなのでしょうか。
遺伝子の関係でメラニン色素が欠乏し、体毛や皮膚が白く、目もの色も薄い状態で生まれてくる人や動物のことです。両親や先祖がアルビノでなくても生まれてくる可能性はあります。日本でもおよそ2万人に1人ほどの確率で生まれるといわれています。
白髪または金髪に、白い肌、透き通った瞳をもっているアルビノの人たち。日本人のアルビノであれば、外国人かとも思ってしまう見た目です。
見た目以外には、日焼けがNGで、視力障害があります。メラニンが不足しているので、紫外線の害を受けやすいのです。目に関しては、脈絡膜や網膜色素上皮に色素が少ないため、光を十分に受けられず、目が見えにくくなります。また虹彩に色素が欠乏しているため、遮光性が不十分で、光を眩しく感じてしまいます(羞明)。遺伝の問題ですので、治療はできないようです。
では実際に日本でアルビノとして生まれた方には、どのような方がいるのでしょうか。
日本人のアルビノ 〜薮本舞〜
薮本舞さんは、アルビノ当事者と家族の交流の場をつくる「アルビノ・ドーナツの会」の代表を務めています。
子どもの頃から見た目をタブーとして気遣われ、周囲と打ち解けられなかったという舞さん。高校、大学と進むにつれて、外見を気遣われることは少なくなっていき、友人も多くできて楽しく過ごせるようになっていったそうです。
そのような中でも壁にぶつかってしまったのが、アルバイトや企業の面接です。その見た目、特に金髪に近い髪の色を理由に、高校時代からアルバイトの面接を落とされてきました。大学生の時は、バイトもしたこともない自分が就職できるのかという不安に陥ります。
そんなとき、自分と同じような境遇にいる人たちはどのような生活を送っているのだろうと、アルビノの方を探し始めます。それが「アルビノ・ドーナツの会」の始まりで、同じ視点で共感してくれる仲間の存在に癒されたそうです。現在舞さんは「見た目問題相談センター」で、見た目に症状がある方たちを、相談員としてサポートしています。
日本人のアルビノ 〜粕谷幸司〜
タレントとして活動しているアルビノの方もいます。粕谷幸司さんです。
幸司さんは、突然生まれた白い子どもを育てた母親のことについて語っています。当時は「アルビノ」という言葉も知られておらず、ネットもない時代だったため、この症状が何かを調べることもできませんでした。お母さんは何軒もの病院を回って情報を集めた結果、日差しに注意が必要だということと、弱視であるということ、そしてそれ以外は健康だということがわかり、安心したそうです。そんなお母さんは、幸司さんがアルビノであることを悲観することはありませんでした。幸司さんも、新卒採用で30社以上落ちるといった経験をしますが、「アルビノ=かわいそう」と思われたくないと語ります。日焼けをすると火傷のように酷く、弱視や羞明、眼振もあるし、外見も目立ちます。でもそれ以外は普通で、問題なく暮らせるのです。アルビノであることを活かして、人を楽しませるエンターテイナーとして有名になることを目指していくそうです。
日本人のアルビノ 〜きゃさりん〜
最後に、スピリチュアルコンシェルジェとしてセッションなどを行う、小林純子さんこときゃさりんさんを紹介します。
きゃさりんさんは、先に紹介した2人よりも少し色素が多いのか、髪はほぼ金髪で、目は薄いブルーです。そのせいか、子どもの頃から「ガイジン」扱いされ、あれこれ言われることが多かったようです。それでもきゃさりんさんは、いじめられたら倍返し、噂になれば上等だと、気を強く持っていました。そのうち、自分の個性を活かす方法を身につけ、芝居や仕事、結婚など、様々なことを楽しむようになりました。今はアルビノでよかったと思えることがたくさんあるそうです。人目を引くことができ、多くの人と交流ができること、すぐ覚えてもらえること、そして一番よかったと思えるのは、(弱視)障害者であっても、守られるだけの存在ではないとアピールできることだそうです。偏見や差別はなくせなくても、それを逆手にとって楽しめる!と発信できる、ということです。「アルビノアイドル」としてもっと表に出て、元気と笑顔と綺麗さを振りまくと語っています。
まとめ
アルビノの方たちには様々な苦労もあるでしょうが、その分、アルビノだからこその幸せもあるようです。多くの人々がアルビノについての正しい知識を持ち、偏見や差別、誤解のない社会になることを願います。