東京オリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式をめぐる〝辞任・解任騒動〟に日本では厳しい批判が続いているものの、海外では批判とは別の見方が広がっているようです。
「ショーディレクター」の小林賢太郎氏は過去にコントの中で「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」というフレーズを使っていたことを理由に解任されました。日本では「23年前のことでも許されない」とコメンテーターが激しく批判をし、正義を振りかざすネット民が騒いでいます。
これらの騒動に対して、アメリカでは「キャンセルカルチャー」だとの見方をされています。
「キャンセルカルチャー」とは
「ボイコットの形式のひとつである。著名人をはじめとした特定の対象の発言や行動を糾弾し、不買運動を起こしたり放送中の番組を中止させたりすることで、その対象を排除しようとする動きのこと。」
というのも、過去の発言・不祥事で現在の仕事が奪われる「キャンセルカルチャー」は、数年前からアメリカなどで大問題になっている社会問題の一つ。アメリカでは、過去に女性差別や同性愛者への偏見、差別的な発言などを言った人が、仕事を奪われてしまう例が頻発しています。そして今では、過去の誤りを一つとりあげ、キャリアを奪ってしまうのが本当に正しいのだろうか、という議論が起こり始めているのです。
オバマ元大統領もキャンセルカルチャーを批判
アメリカでは2021年3月、オンライン誌の編集長に就任予定だった黒人女性記者が、10年前の学生時代に、アジア人に差別的なツイートをしていたことが掘り返され、編集長を辞任するという出来事がありました。しかもこの女性は、2019年に一度謝罪しているにもかかわらず、2021年にまた再炎上させられてしまったんです。
2019年には、バラク・オバマ元アメリカ大統領もキャンセルカルチャーを批判し、「SNSで公に人を辱めることは、アクティビズムではない。他人に石を投げているだけでは、変化をもたらすことはできない」といった趣旨のコメントを発表していました。
そして今回の小林氏の解任騒動でも、アメリカのネットユーザーの間では
「23年前だと!? 行き過ぎたキャンセルカルチャーだ」
「日本にもキャンセルカルチャーがやってきてしまった」
「23年前のジョークで、現在の仕事が奪われるのはあまりにもおかしい」
「こんな世界秩序は最悪だ」
などと批判が起こっています。
いずれは日本にもいきすぎた「キャンセルカルチャー」は〝悪〟だと非難される時代が来るかもしれません。