新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。全国の感染者数は、延べ3万9195人(8月3日時点)に上り、死亡者数も1000人を超えています。感染者が周囲からの非難や嫌がらせに直面するケースも相次いでいます。
佐賀新聞LiVEは7月15日、感染者やその家族が特定されたり、中傷されたりするケースがあると報道しました。なかには家に石を投げ込まれた人もいたといいます。岡山県内でも感染者が特定され、嫌がらせを受けるケースが相次いでいると、山陽新聞が6月10日に報じました。
そうしたなか、新潟県見附市(みつけし)が市役所の公式Facebookページに投稿した漫画が反響を呼んでいます。漫画のタイトルは「安心して感染したい」。
「安心して感染したい」では、住人たちが次々と感染を恐れる発言をします。そのいずれもがコロナウイルスそのものを恐れているというよりは、周囲の目を恐れている発言ばかりです。 作者である見附市公式レポーターの村上徹(むらかみとおる)さんは、「周囲の人たちからこうした言葉を聞いてモヤモヤしていた」と話します。「モヤモヤを形にしようと思って、とりあえず漫画を描き始めたんです。その過程で自分も人の目を気にしていること、わざわざ口に出さなくても同じようなことを思っているところがあると気が付きました。コロナウイルスについては治療法もまだなく、やっぱりみんな怖いですよね。みんなが感染のリスクに晒されて怖い思いをしているときに、お互いに傷つけ合ったり、いじめにつながるようなことを言うのはやめたいと思いました。そういう自分の気持ちをそのまま漫画にしたんです。」
こうした思いを込め、漫画の最後には「誰もが感染する可能性がある中で、こんな声を聞くと『噂するのも村八分にするのも後ろ指さすのも陰口を叩くのもウイルスじゃない。この、「ひと」なんだよなぁ』と、思う。見附人として互いを想い合う温かい『ひと』でありたいと願う」と綴りました。
「正直、市内で感染者が出たら『誰なんだろう』『近所じゃないといいな』と思ってしまうと思います。でもそれを口にしたらいじめにつながってしまう。誰が感染しても誹謗中傷しないような空気になってほしいですね。」と、村上徹さんは続けます。
この漫画は大きな反響を呼び、隣接する三条市に在住する男性は、「三条にも(感染者が)出ました。御多分に漏れず『誰だ!』『何処の人』など詮索の多い事!」とコメントしました。岐阜県に住んでいるという女性も「本当に怖いのは病気ではなく、地域にウイルスを持ち込んだという犯罪者扱いです。」と共感を寄せました。
こうした書き込みからは、感染者が地域で後ろ指を指される現状が透けて見えます。しかし感染しないように注意を払っていても、いつ誰が感染してもおかしくないのがコロナウイルスです。感染者を責めても仕方がありません。
見附市役所でFacebookを管理する担当者は、「市では、三密を避ける、新しい生活様式を実践するといった感染症対策を実施しています。そのおかげで、まだ市内で感染者が出ていません。だからこそ多くの人は、一人目の感染者になってしまうのではないかと不安に思っているようです」と話します。漫画については、「見附市で生活する人同士、温かい気持ちで感染者をいたわり、見守れるようになりたいと思った。」と共感を寄せました。
ネット上でも、共感の声が多く上がっています。
・本当にね。感染した人は悪くないしいつでも何処に居ても誰でも感染リスクはある。
・こういった素晴らしい運動は国が率先してやるべきなのに実際は特定の職種を悪にしている。どんな時代でも民衆の不満をそらすために差別は国が率先してやっている。私たちもマスクをしているのは感染予防というよりも人の目を恐れてるからである。一番怖いのは人間である。
・ずっとモヤモヤしていた事を代弁してくださいました!ありがとうございます。
・なぜ普通にお大事に。早く元気になってね。と言えないのか。コロナはひとの黒いところを浮彫にする病気よね。信頼関係、絆、を崩壊させるまで感染させ続けるんだろうかと思ってきた。優しく思いやりもって生きましょう。