テレビ東京『家、ついて行ってイイですか？』の過去の放送分がSNS上で一時期話題になっていました。
2019年12月25日に撮影されたというVTRで、北海道・小樽でほろ酔いの男性（68）が登場。その男性は10年前に妻を亡くし、仕事を辞め、東京から生まれ故郷の小樽に戻ってきたというのです…。
番組スタッフは雪が舞う小樽で一人の男性に声をかけました。男性の家についていってみると、2LDK築38年のアパートの一角には、初老の男性一人暮らしには似つかわしくないYAMAHAのシンセサイザーと大型スピーカーが備え付けてありました。
男性は作詞作曲が趣味で、20年以上前からオリジナル曲を作っているといい、実にその数、1,759曲！と言うのには驚き！！亡き妻へ向けた曲は803曲もあるそうです…。
男性いわく、「他人からしたら、『バカその曲なんだ?』って言われるかもしれないけど、作詞作曲は生きる希望、生きるすべ。妻に死なれ、一人になっても生きていく意味っていうのかな」と語っていました。
家の中には、至るところに優しそうな笑みを浮かべる生前の妻の写真が飾られており、「俺の人生でたったひとつの手柄。こんないい女を女房にしたぞって」「見栄えも根性も、こいつにかなうやつはいない」と男性はうれしそうに語ります。
一方、フクロウが好きだったという妻の形見が置かれたホコリまみれになった一角が寝室に。男性によると、ホコリも妻が重ねた年月の一部だから掃除してしまうと、「時の流れがなくなってしまうから」そのままにしているんだと。
男性が妻に一目ぼれし、ほどなく2人は結婚。しかし、それから3年後、妻が貧血を訴え始め、病院で検査したところ、子宮卵巣がんを患っていることが発覚。当時、医師からは「余命数年」と宣告されていました。
2人は残された時間を有意義に過ごすべく、休みになると日本全国を旅し、気づけば10年たっていたそう。懸命に闘病を続ける妻でしたが、最期の年の正月、「私、なんのために生まれてきたんだろう……」とポツンと口に。
男性が「俺のために生まれてきたって答えたらダメか？」と冗談で返すと、妻はなんとも言えない表情を浮かべてたといいます。
それから数日後、妻は再び入院することに。危篤の知らせを聞いて病室に駆け込むと、会話は出来る状態ではなく苦しそうにしていたようです。
そんな妻を見ていられなくなった男性が「もう逝っていいよ」と優しく声をかけると、そのまま息を引き取ったそうです…。
番組の撮影日だった12月25日は、妻の月命日。この日だけ男性はスナックへ酒を飲みに行くといいます。雪夜のクリスマスにひとりで歩いていたのも、そのためだったようです。
男性だけでなく、小樽の人の人情深さに触れた内容となりこのままVTRが終わるかと思われましたが…、最後に衝撃的な出来事が待っていました…。
男性と連絡が取れないことを心配したスタッフが再び自宅を訪ねると、近所に住む男性の友人から、前日に多臓器不全で亡くなっていたことを告げられたそうです。この取材から約1カ月後の2019年2月2日のことでした。
実は妻の形見の中には髪の毛も入っていたのですが、男性は「死ぬときに『棺桶に入れてほしい』って誰かに頼む。俺もお前の恩人でしょって。そういうことしたっていいべ？」とスタッフにこんな言葉を残していたそうです。
亡き妻へ愛に溢れた人生を送った男性。
今ごろ愛する妻の元へ行ったのではないでしょうか…。ご冥福をお祈りいたします。