ビール売り子を女子大時代に東京ドームで売り子をやっていたマユミさん(仮名/24歳)の体験談です。お客は売り子がビールを注いでお釣りを渡す数十秒の間に、質問してきたり、写真を撮りたがったり、名刺やプレゼントを刹那の素早さで手渡そうとするそうです。
ビール売り子は先発投手と同じで立ち上がりが勝負だったそうです。最初の1杯目で、その日の常連をつけて「次もあの子で」と思わせるために。緊迫の投手戦より景気のいい打撃戦の方が売れるので、「かっ飛ばせ、かっ飛ばせ」なんつって胸の内で念じながら階段を駆け上がったそうです。客席の動きをよく観察し、小銭だけでなく大きいお札にすぐお釣りを出せるように、千円札の束を指に挟んでスタンバイ。不意に目が合ったら、ニッコリ笑ってみせていました。point 268 | 1
売り子に必要なのは容姿はもちろん、“笑顔とトークと根性”です。そのまま社会人に求められるスキルなので、球場で鍛えられた女子は就職面接に異様に強いと言います。もちろん野球にも詳しくなり、首元に巻くタオルは目立つ色で自分の好きな選手だったり、マニアックにその日の先発投手の出身校をチョイスすることもあるそうです。お客さんが「あぁこの子、分かってるね」と顔を覚えてくれるから。でも、頭につける花飾りは2年目からが暗黙の了解です。point 267 | 1
毎日ガチンコ! 売り子バトルの真実
勤務前、ドームへ向かう総武線車内で野球ニュースをチェックするのが日課だったそうで、今でも当時のセ各球団のスタメン暗記してるなぁと懐かしそうに振り返るマユミさんは、1日200~300杯のビールを売っていました。ビール半額ナイターは400杯前後出る日もあるそうです。ちなみに歩合制で1杯800円で売ったら30円バック。時給950円+歩合の合計は基本的に日給1万円を超える。20時45分か8回裏終了時まで売って、約5時間の拘束と考えても1時間2000円以上の稼ぎ。学生バイトとしてはおいしい仕事でした。point 321 | 1
華やかな見た目とは裏腹に売り子の生存競争は過酷で、18時試合開始のナイターなら、16時過ぎに球場入りしていたそうです。その日、行くまで何を担当するかわからず、花形はもちろんビールでした。それが新人や数字の悪い子は1杯あたりのインセンティブが安い焼酎やサワーになり、やがてジュースになり、気が付けば姿が消えている……野球選手と同じで結果を出さなきゃポジションを失うと言います。なお売上げ上位ランキングは打率ベスト10のように翌日のロッカールームに貼り出され、嫌でも意識するライバル関係で、仲のいい同期もこの時ばかりは倒すべき敵です。まるで選抜グループを総選挙で争うアイドルグループ並のハードさである。point 355 | 1
控え室にはアイドルの卵、フリーター、人妻、学生、元レースクイーンまでいる。それぞれのバックボーンや同期の繋がりで自然とグループができるが、この辺は普通の学校の教室と変わらず印象に残ってる同僚を聞くと、マユミさんは「とんでもない年上キラーがいました」とひとりの女性を紹介してくれた。
「なんか最近出会ったおじさん、みんなキスしたがるんですよね。ま、しないけど」えっ? クールな顔して、いきなりクレイジーなパワーワードの登場でした。出会ったおじさんみんなキス……とりあえず無意味に略すとD・O・M・Kで、今もセ・リーグ某球場で売り子を続けるチヒロさん(仮名/22歳)は、乃木坂46の西野七瀬に少し似た正統派美人でした。この仕事を始めたのは高校卒業直後の18歳の春だという。過去に関東近郊のいくつかの球場を掛け持ちしていたキラーチヒロが語る「ビール売り子のリアル」は非常に興味深い内容でした。point 252 | 1
「やっぱりまだセ・リーグが人気高いですよね。パ・リーグの球場で売り子をやっていた時は、日本ハムやソフトバンクはまだいいんですけど、他のカードになると観客数が少ないのでテンションはかなり落ちました」それでも常に売上げ上位にランクされていたチヒロさんは、一度買ってくれたお客さんの顔と名前は覚えて、球場で見かけたら自分から「○○さん、お疲れさま!」って笑顔で手を振ることを徹底していたそうです。ポイントは“丁寧なタメ語”。年上に強いのは敬語よりも軽く、友達タメ語よりはリスペクトがある絶妙な“丁寧なタメ語”だと言います。point 370 | 1
お気に入りの売り子を見つけた常連客はやがてインスタやTwitterのアカウントを探し当て、直接メッセージを送ってくるケースも多いと言います。さすがにそこまでいくと疲れないかと聞くと、「だって売り子の営業用とプライベート用はアカ分けてますからね。売り子用は返事は返さないし、男友達の存在も一切臭わせないようにして。そういう子も多いですよ」とあっさり告白し、ただ、球場によっては追っかけファンに注意しなければいけないケースもあるといいます。point 274 | 1
「神宮とか東京ドームは複数の最寄り駅があって、帰りルートが分散されるじゃないですか。でも最寄りがひと駅に集中するメットライフドームとかは気をつけないとヤバイです。お客さんも仕事終わりの待ち伏せは最低限のマナーとしてやめてほしいですね。それで嫌になって辞めちゃう子もいるので」常連ファンとの距離感問題、まさに球場で会えるアイドルです。もちろん時に客だけでなく選手から誘われることもある。数年前、まだ世の中も球界も今よりユルかった頃、チヒロさんが時々働いていた横浜スタジアムは選手と売り子の入り口が一緒で、可愛い子はよく声を書けられたと言います。球場によっては、ベテラン売り子が仲介して選手との合コンも開催されていたが、当時10代だったのでさすがにその手のお酒の誘いは来なかったですねなんて熱狂の日々を振り返るチヒロさん。point 359 | 1
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