袋入りで市販されているのをよく見かけるカリカリ梅。普通の梅干しとは違って、小粒でカリッとした歯触りが特徴です。普通のものよりカリカリ梅のほうが好き、という根強いファンも多いほど親しまれています。このカリカリ梅、自宅で漬けるというと意外に思う人もいるかもしれません。手間がかかりそうなイメージも強いですね。でも、カリカリ梅作りは梅を干さなくてもよいので、通常の梅干し作りより実は簡単です。いくつかのポイントを外しさえしなければ、美味しいカリカリ梅を自宅でも漬けることができるのです。
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カリカリ梅を作る時、まず重要なのは梅そのものの固さです。青梅を選ぶことが絶対で、熟して柔らかくなった梅を使ってしまっては、カリッとした食感を出すことはできません。また、青梅でも収穫から時間がたっていると柔らかくなってしまうため、できるだけ新鮮なものを選ぶようにしましょう。青梅を洗い、竹串などでヘタを取り除き、水に数時間漬けてアクを抜きます。そのあと完全に乾かすか、布巾などで水気を取って表面に水分が残らないようにしておきます。point 282 | 1
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この梅を容器に入れ、ホワイトリカー(または焼酎)を少々振りかけて消毒します。そこに塩をかけて、ごしごしとしっかり強めに揉んでいきます。表面が緑色に透けてきたら、次にカルシウム分を足します。通常の梅干しは、梅の中のペクチンがペクチン酸カルシウムに変化し、それが水に溶けることで柔らかさが増していきます。カリカリ梅を作る際には、ここでカルシウムを足すことによって、梅が柔らかく変化せずに、青梅の固さをそのまま残るようになるのです。農家では昔、藁を燃やした灰を水に溶かしてそこにしばらく梅を漬け込み、その後にあらためて梅を漬けてカリカリ梅を作っていたそうです。カリカリ梅をはじめて商品化した会社は、この作り方にヒントを得て、カルシウムを用いる製法を確立したと言われています。point 402 | 1
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カルシウムを足す方法は色々ありますが、ガーゼやお茶パックに入れた卵の殻(10個分ほど)を用いたり、にがりを梅1キロに対して50ミリリットル程度入れたりするやり方が一般的です。また、カリカリ梅の素も市販されているので、それを使ってもよいでしょう。カルシウム分を足し、さらに塩を加えます。全体の塩の量は梅の重さの10~12パーセント程度が適量です。この塩の量であれば後から塩抜きをする必要もありません。そして塩を加えたあとは、時々容器を揺すって塩が全体に行き渡るように気を付け、数日から一週間ほど漬け込みます。青梅の色のままでよければ、これでもう出来上がりです。梅酢が浮いてきているので、取り出して冷蔵庫などで保存します。普通の梅干し作りのように梅を干さなくてよいので、天気に左右されることもなく、意外と簡単に出来上がるのです。point 430 | 1
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もし市販のカリカリ梅のように赤い色を付けたい場合は、梅酢から引き上げる前に赤紫蘇を使います。赤紫蘇の20パーセントほどの塩を用意し、半量の塩で赤紫蘇を揉み込みます。黒みがかった水が出てくるので、それを絞ります。さらに残りの塩を入れ、再度揉み込んで出てきた水を絞って捨てます。揉み込んだ赤紫蘇に少量の梅酢を加えてほぐしていくと、鮮やかな赤に色が変わっていきます。これをカリカリ梅を漬けた容器に一緒に入れ、またしばらく漬けておくと、赤紫蘇の色に梅が染まって、きれいな赤い色のカリカリ梅ができます。point 315 | 1
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青梅に塩とカルシウムを加えて漬けるこの作り方は、思ったよりも簡単にでき、市販のものよりもさらにさわやかで香りが高いカリカリ梅を楽しむことができます。保存料を加える必要もなく塩分も控えめにできるので、健康の面でも安心です。お茶のお供にもよく、刻んでご飯に混ぜても絶品のカリカリ梅。青梅の季節には、自宅で手作りを試してみるのがおすすめです。