ジャンバーは、日本でよく知られている上着の名称で、主に大阪や茨城で幅広くそう呼ばれています。
ジャンバーの原型は、ハリントンジャケットと呼ばれる上着に由来していて、1930年代に作られた物が最初とされます。
文語はジャンパーと表記されることが多いのに対して、口語ではジャンバーも使われている傾向です。
また、この名称は英語が由来ですが、上着の種類的にはフランス語のブルゾンに相当します。
原語のジャンパーは、セーターやエプロンを指す言葉ですから、ジャンバーと言っても通じないと考えられます。
つまり、日本におけるジャンバーの意味は、和製英語に近い日本特有のもので、しかも限定された地域で特に使われているのが特徴です。
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元となったハリントンジャケットは、2000年代に入ってもまだ製造されていて、日本におけるジャンバーのように定着しています。
丈は腰までで、しかも軽量というのが特徴ですから、軽く着こなせることから人気が高まりました。
幅広く知られるようになったり、人気に火が付いた切っ掛けとしては、1958年に公開されたエルビスプレスリーの主演映画、そして1960年代に放送されたドラマが挙げられます。
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着こなしを印象づけたエルビスプレスリーに対して、ハリントンの名前はドラマの登場人物から取られているのがポイントです。
日本に輸入されたのはそれ以降のことで、当時はスウィングトップと呼ばれていて、この名前で広く知られるようになります。
スウィングトップと呼ばれるようになったのは、日本のファッションデザイナーがゴルフスウィングから名前を取り、ゴルフ用として定着させたことが理由です。
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その後は次々と俳優や有名人が日常的に愛用したことから、ジャンバーの元となりスウィングトップと呼ばれていたハリントンジャケットは、ゴルフ以外でも身に着けられるようになりました。
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実は、ジャンバーの名前にはもう一つの歴史があって、スタジアムジャンパーと呼ばれるアメリカの大学のユニフォームにも由来しています。
日本では独自にスタジャンと略されていましたが、ジャンパーの名前だけが取られて残り、何時しかスウィングトップはジャンパーと呼ばれ、ジャンバーとも呼ばれるようになったものと思われます。
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現在のジャンバーは、ゴルフ用のスウィングトップを始めとして、ウインドブレーカーや革ジャン、それにダウンジャケットまで含んでいます。
ハリントンジャケットから派生したジャンバーの種類が多様化した結果、ジャンバーは単一の上着ではなく、幅広い上着を指す言葉になったといえるでしょう。