人気漫画家である岡崎京子作のヘルタースケルターですが、沢尻エリカ主演で映画化もされました。映画版は出演陣が豪華で、監督の蜷川実花の独自の世界観も話題になりました。漫画版と映画版との違いや作品の魅力についてご紹介します。
ヘルタースケルターとは?
ヘルタースケルターとは、1996年まで雑誌『FEELYOUNG』にて連載されていた岡崎京子の人気コミックです。この作品の主人公は『りりこ(本名:比留駒 春子)』という女性です。りりこは誰もが羨む美貌を持ち主で、トップモデルでした。しかし、その実態は元デブ専風俗店の女の子。美貌は『全身整形』で手に入れた偽物だったのです。この作品は、りりこが全身整形を受けた違法クリニック店を中心に、現実と虚実から生まれる人間の苦悩と葛藤を描いたストーリーになっています。
映画版へルタースケルターの豪華出演者とエピソード
映画版では豪華な俳優が多数出演しています。まず主人公であるりりこに沢尻エリカが。
違法クリニックを追っている検事の麻田役には大森南朋。
その他、水原希子・綾野剛・桃井かおり・窪塚洋介・寺島しのぶ・哀川翔など、名だたる俳優達が出演しています。
そんな華やかな出演陣とは裏腹に、現場は大変でした。というのも当時スキャンダルで騒がせていた沢尻エリカが自分とりりこを重ね合わせ過ぎて精神的に不安定に陥ったのです。これは映画の公開直前に「体調不良」で休養をとった原因ではないか、とも噂されるほどに。
実際、ヘルタースケルターの監督・蜷川実花は「『りりこの役がなかなか抜けない』と言っていた彼女に静養が必要なのは、必然のような気がします」とも発言しています。それほど役に溶け込んだという事でしょう。
漫画版と映画版の違い
ヘルタースケルターの漫画版と映画版では話の道筋に大きな違いはありません。セリフや出来事の順番など、ほとんどが同じ構成となっています。ですが、この2つに大きな違いがあります。それは『表現』の仕方です。より詳しく言うと『りりこの描き方』に大きな違いがあります。
というのも漫画版では「どんな苦難にも負けない」という風に多少なりともポジティブな部分が含まれたりりこが描かれていますが、映画では「あらゆる苦難に飲まれていく」完全ネガティブなりりこが描かれています。
こういった表現の違いから、漫画版と映画版は全くの別物とされているのです。
ヘルタースケルターの魅力とおすすめポイント
この作品の魅力は何と言っても『りりこの生き方』から見える人間の闇にあります。どんなに幸せで順風満帆であろうと、偽りの幸せはいつしか崩れていきます。
その崩れていく様を見て、偽りの危うさを実感し、そして人によっては悲しさを、またある人によっては怒りを覚えるでしょう。そんな不思議な感覚を漫画版と映画版の二通りで楽しめるのが魅力です。また映画版では沢尻エリカのりりこ具合を見るのも興味深いものがあります。なので、まず漫画を見てから映画を見ることをおすすめします。
まとめ
ヘルタースケルターはR15に指定されているように、内容は結構ダークです。人によっては不快感を覚えるかもしれません。ですが、それは人間なら誰しもが持つ闇の部分を描いているにすぎません。この作品を見て、今ある自分と照らし合わせてみると自分の悪い部分が見えてくるかもしれません。そこから、何かしら考えさせられるところがあるでしょう。