アメリカで公開された実写版映画『攻殻機動隊』は主人公の草薙素子がなぜかアジア人でないスカーレット・ヨハンソンが演じたことで、最初から原作のファンからは懐疑的な声が上がっていました。これに関してはプロデューサー、スティーヴン・ポール氏は「原作ファンが草薙素子のイメージを大事にしていることはわかっている」とコメントしたとのこと。そのために広報や映画の資料には、草薙素子という表記はせずに一貫して少佐と呼ばれています。
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今までにも攻殻機動隊は多くの映像化がされてきた作品ですが、今回のハリウッド版『ゴースト・イン・ザ・シェル』は少佐が自分探しを行っています。このストーリーの中では少佐が機械の身体の擬態化されており、元難民だったので瀕死の重症を負ったがために擬態化したという設定になっています。そして悪役設定であるクゼに少佐が接触することで、自分の擬態化以前の記憶に疑問を持つという話に展開していきます。自分の過去を少佐が掘り下げていくという形になっています。このあたりの『自分探し』という脚本にしたのは、原作の漫画では生命に関する普遍的な悩みを抱く構成とは違う形になっています。point 343 | 1
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このあたりから原作を無視したストーリーが徐々に展開していくわけですが、しっかり原作に登場する小道具やエピソードは随所に登場させているので気を使った構成になっているという話も聞かれます。攻殻機動隊なら、このようなエピソードや小道具はマストと言っても良いような(例えばトグサのマテバが出てくる、多脚洗車の蓋を力技ではがすなどのエピソード)話はしっかり映像化されています。
またそれだけでなく、変形する芸者ロボットやホログラムが使われた映像などは漫画以上に面白いという声も聞かれました。このような映像化は漫画では味わえない、アニメでは表現できないリアリティのある迫力があるということのようです。ところが細かいニュアンスや攻殻機動隊では必ず登場するようなエピソードはしっかり表現されているにも関わらず原作ファンは非常に不満を持っていたようです。point 438 | 1
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それは最初にもご紹介したアジア人キャラクターという設定に白人女性を用いたということで当初のスタートからバッシングを受けていました。これは人種という問題だけでなく、そもそも誰がなっても厳しい原作ファンからは文句が出ていたかもしれない、という論調もあったようです。また原作のストーリーは無視で、原作破壊されたというファンも多くいたとのことで、ハリウッド流の脚本が受け入れられなかったという見方もあるようです。
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ただし原作アニメ映画の屈指と言われる名シーンは上手に実写化されているという評価もあるので、原作を知らない方が見るならストーリー自体がわかりやすく変更されていて理解しやすいことを狙ったのではないか、とも言われています。実際にこの映画は前評判と違い6,000万ドル近く損失してたのではないかと言われているからです。
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攻殻機動隊の原作のファンは原作に忠実でないストーリー展開やデフォルメされたキャラクターに憤慨する一方で、原作を知らない方はサイバーパンクの世界を堪能できるという両極端な映画になっているということなのでしょう。部分的に甲殻の世界観は表現されているものの、全体通したストーリーには納得がいかないというのが原作ファンの見方のようです。もちろんアニメや漫画を実写にすると何かしら文句が出るのは原作の人気が高いということなのでしょう。特にこの甲殻機動隊は息の長いファンも多く、漫画の世界観やポリシーがしっかりしていることからも映画の脚本や設定に納得がいかなかったというのが本当の評価のようです。point 361 | 1