故・勝新太郎さんと女優の中村玉緒さん(80)の長男で俳優の鴈龍(がん・りゅう)さんが、11月1日、急性心不全で急死していたことが「週刊文春」の取材で分かった。享年55でした。取材では、故・若山富三郎の長男で、鴈さんの従兄弟にあたる俳優の若山騎一郎さんが明かしています。
鴈龍さんは、滞在先の名古屋で急逝し、発見されるまでに数日間を要したそうです。いわゆる孤独死だったようですがが、事件性はないと見られています。葬儀は、11月29日に近親者だけで行い、すでに納骨も済ませているといいます。
若山騎一郎さんは「報せを聞いた時は絶句しました。まだ若いし、大きな病気もなかったのに……。悲しいという以前に心の整理がつかず、状況を飲み込めずにいます」と話しています。
鴈龍さんが役者の道を志したのは18歳の時。勝新太郎さんの元で息子であることを隠しつつ付き人として俳優活動を始めました。勝さんは「お前は俺の一番弟子だ。息子じゃない」と言って厳しく指導。そして、鴈龍さんは、1989年の『座頭市』でデビューを果たします。『座頭市』といえば勝新太郎さんをブレイクさせた作品として有名です。このデビュー作では勝さんが監督を務めており、息子を『座頭市』に出演させられたことは、さぞ嬉しかったことでしょう。
しかし、『座頭市』の撮影中に大惨事を起こしてしまうのです….。鴈さんが真剣をあやまって使用したため、殺陣師の俳優が亡くなってしまうという事故が。勝さんは責任を問われ、鴈さんは謹慎生活を強いられました。また、1990年に勝さんがコカインをハワイに持ち込んで逮捕されてしまいます。
その後、勝さんは下咽頭癌を患い、1997年6月壮絶な闘病の末に亡くなくなりました。鴈さんは、父・勝さんの告別式で司会を務め「父の名を辱めないよう、精一杯やらせていただきます」と宣言していましたが、俳優活動は苦戦続き。その後、母親である中村玉緒さんがテレビ局に頭を下げて回って仕事をもらっていたようですがどれも単発の仕事ばかりだったそうです。
2017年の舞台を最後に公の場から姿を消した鴈龍さん。一時は宝石デザイナーを目指したこともあったと言われていますが、近頃は近しい人も何の仕事をしているのか知らなかったようです。また、近年は、玉緒さんとも距離をとっていたとか。親族の話によると…「玉緒さんを安心させるために、自立の道を模索していた。一方、玉緒さんは常に息子の身を案じ、陰で支援を続けていました」と明かしています。
55歳という若さでこの世を去ってしまった最愛の息子に先立たれた中村玉緒さんは、ショックのあまりコメントできる状態ではないようです…。子どもに先立たれる悲しみははかり知れません。心からお悔やみ申し上げます。