ある鉄道トラブルの動画がTwitterに投稿され、話題になっています。近鉄名古屋駅の電車内で撮影されたもので、撮り鉄が通報ボタンを押して電車を止めたというのです。どんな理由でそのような行動をしたのでしょうか?
トラブルが発生したのは、8月12日の21時頃。近鉄名古屋駅のホームに停車中の電車に乗り込んだ鉄道ファンの男性が、車内の❝通報装置❞を押しました。車掌が急いで駆けつけると、男性は「撮影するので閉まっているドアを開けてほしい。電車の前についている照明も点灯してほしい。」と頼んだというのです。車掌はこの要望を断り、撮影するのであれば乗車ホーム側から降りてほしいと伝えました。また、通報装置は緊急用のものであり、万が一同時に緊急事態が発生した場合に、対応できなくなることなどを男性に説明しました。 このトラブルで電車は出発できず、1分20秒の遅れが発生しました。
このやり取りの一部が撮影されたものがSNSで拡散されています。こうした、いわゆる “撮り鉄” によるトラブルがたびたび話題になるためか、SNSでは、《業務妨害で告訴して、民事では遅延損害金を請求するべき》《この手の迷惑行為が頻発 厳罰で臨むべきだ》など、厳しい意見が多く見られます。
撮り鉄
撮影のため車内のライト消してくれないか、
と、緊急通報用のボタン押して車掌を呼び出すお前に脳みそはあるんかい? pic.twitter.com/IayKlS83is
— たぬき (@makkoi007) August 12, 2022
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このような迷惑行為に対して鉄道会社が❝法的手段❞に出ることはあるのでしょうか。「場合によってはありえます」と話すのは、鉄道ジャーナリストの梅原淳さん。
「窓ガラスを壊したり、踏切事故で電車と衝突したりすれば、器物破損で損害賠償請求されます。人身事故で運行に大幅な遅れや運休が発生すれば、振替輸送費、修理費用などが請求されることになります。鉄道ファンの例だと、2015年、JR東北線の線路間に張ってあった安全ロープを写真撮影のために切断し、器物損壊容疑で男子大学生が逮捕されたケースがあります。近年、鉄道会社も積極的に損害賠償を請求する傾向にあります。」(梅原さん)
しかし、今回は1分20秒遅れが生じましたが、これで近鉄に損害が出たわけではないので、今回の近鉄名古屋駅のケースでは法的手段とまではいかないようです。遅れによって乗客に明らかな損害が出た場合、被害を受けた人がトラブルを起こした人に対して損害賠償を請求することになるようですが、その可能性はきわめて低いのではないかと、梅原さんは話しています。
とはいえ、迷惑行為であることに変わりはないです。常識の範囲で趣味を楽しんでほしいものです。
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