白血病にかかったといい事実を知らされた父は、家族誰一人に相談せず、安い棺を買い部屋に置いていた。
中国のあるメディアは、妻と二人の子供のため、自分の白血病治療を諦め、死を待つ父親の話を報道した。
中国湖南省に住む男性・タンさんは、工場で働きながら妻と子ども2人の家族4人で幸せに暮らしていた。
しかし、ある日突然、病院を訪れたタンさんは医師から思いもよらぬ診断をされてしまった。
タンさんは白血病を患っていることが明らかになり、しかも骨髄移植をしなければならないと医師から宣告されてしまった。もし骨髄移植をしなかったら、余命は6ヶ月しかないとまで言われたそうだ。
医師はタンさんに「白血病にかかる治療費はかなりの高額だが、お金は準備できそうですか?」と尋ねると、タンさんは首を横に振り、静かに家に帰った。
家族のために働いたお金を自分の病気を治すための治療費に充てることなんてできない。そう思ったタンさんは、治療を諦めるしかなかった。
その後、タンさんは2000元(日本円で約3万円)で棺を一つ購入することにした。
普段から平凡で質素な生活をしてきたタンさんであったが、両親の葬式には5000元(日本円で約8万円)相当の棺を準備し、最後まで丁寧に葬式を行ったが、自分が入る棺は安い棺を準備したのだった。
タンさんは棺を購入し、死が来るまでは家に置いておくことにした。もうすでに死を覚悟していた。
タンさんの事情を知った近所の人たちは、タンさん宅を駆け付け、自身の治療を受けるようにと説得したが彼は断固として拒否し、痛みがひどくなったときだけ病院で注射を受けるんだと話したそうだ。
しかし、そんなタンさんに改めて生きる意味を考え直すキッカケがやってきた。それはタンさんが通っていた病院で、偶然にも同じ症状を患う患者に出会ったことだ。タンさんの事情を知った患者は彼にこう質問した。
「死ぬのは怖くないのに、生きるために戦うのは怖いのですか?」と。
その患者の一言は、タンさんの胸にぐっと刺さるものがあった。
彼は愛する家族と自分の人生のために病気に立ち向かう勇気をもらい、治療に専念すると伝えたのだった。
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