人魚伝説の真相は!?
昔から「人魚」と言えば、誰もが知っている伝説の生き物ですが、SNS上でこの「シロイルカ」の写真がまるで人魚のようだと話題になっているのです!確かに人間の脚のようなフォルムに見えなくもありませんよね…?もしかしたら、昔からあった多くの人魚伝説のうちのいくつかは、シロイルカの見間違えから生まれた話かもしれませんね!!
人間の脚のように見えたのは『脂肪』だった!?
シロイルカ(別名”ベルーガ”)は、イッカク科シロイルカ属に分類される鯨類。
成体で体長約5m、体重は1000kg以上にもなり、人間よりもはるかに大きな哺乳類です。そのシロイルカたちの脇腹についている贅肉が、人間の脚のように見えてしまうのです。人間で言えば、お腹からお尻にかけてついている脂肪に当たるものは、シロイルカが人間の飼育下のみでできるものだと考えられていたのですが、最近の研究で、野性にも脇腹にこのような肉を持つ個体が分かってきたのです。シロイルカの生態を調査している研究者たちは、まず飼育されているシロイルカと野性のシロイルカの両方の6時間以上もの映像をじっくり観察しました。
すると、シロイルカのお腹にあった幅10〜14cm、長さ1mの2列の贅肉が1分間ほど消えてしまったのです。贅肉は一体どこへ行ったの!?しかし、シロイルカがくるっと回転して上下逆さまになると、再び贅肉がお腹に現れたのでした!
シロイルカの脇腹の贅肉には筋肉がある!?
その謎を究明するために研究者たちは、アラスカのエスキモーであるイヌピアト族を訪ねます。イヌピアト族は、古来よりシロイルカを食用として捕獲しており、アメリカ合衆国からも特別にその行為を許可されている民族です。
研究者たちは、イヌピアト族からシロイルカ数体を調べさせてもらえることに成功し、その結果、シロイルカの脇腹の贅肉には筋肉があることが明らかになりました。その筋肉というのが鯨類の中では珍しい「腹錐体」と呼ばれるもので、これがシロイルカの脇腹の肉を人間の脚のような形にさせているのです。
しかし不思議に思いませんか?どうしてこのようにお腹をへこませるのでしょうか?まさか、異性の気をひくために異性がいるときだけお腹の贅肉をへこませてる….なんて恋する乙女の恋心のような意味での行動ではないでしょう?
何のために贅肉を動かすの?
研究者たちは、シロイルカの贅肉は水中での泳ぎをよりスムーズにするために利用していると考えたようです。例えば、空を飛ぶもの、飛行機やロケットには「垂直安定板」という構造が必要不可欠です。背びれのような構造のものですね。これにより、飛行中の物体は回転することなく、不安定な状況下でも機体や軌道を安定させることが出来るます。(ちなみに下の写真は「エアバス ベルーガ」。完璧にシロイルカを再現しています)
それと同じような役割を、この贅肉のコントロールが担っているというのです。シロイルカの体には、クジラやイルカのように背びれがありません。それは、アラスカなどの寒冷地での海中で背びれを持つことは、命を危険にさらすことだからです。
背びれのような薄い部位は、海水や海上に上がったときの外気を受けやすく、血行が滞ってしまいます。さらに、分厚い氷にぶつけることもあり得るかもしれません。それで、シロイルカたちは背びれの欠如を脇腹の贅肉のコントロールで補っているのではないか、と研究者たちは考えています。
まとめ
昔々、酔っ払った船乗りや海賊たちが、シロイルカのこの不思議な身体を「人魚」に見間違え、人魚の伝説が出来たのかもしれませんね!
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