これから紹介するのは、千葉県在住のO寺さんがJタウンネット編集部宛に寄せた一通のメールの内容です。
満員の電車内で見たという、おばあさんとある親子の間で繰り広げられた後味の悪いやりとりです。
背の小さなおばあさんが、混雑した車内で立っていました。
目の前には、中学生くらいの男の子が座っていたので、「すみませんけど、席譲ってもらえないやろうか。今日墓参りとかいろいろ行く所あって、ほんとに疲れてるんよ」と頼んでいたといいます。
おばあさんの「席譲って」という一言が、男の子の隣に座る男性の逆鱗に触れました。
「何言ってるんだ!息子だって疲れてるのに!」
そして、その後も繰り返し、おばあさんに怒鳴っていたといいます。
どうやら隣の中年男性は、男の子の父親だったようです。
おばあさんは驚いて、「ごめんね、ボク。そうとは知らずにごめんね」と、平謝りしました。
すると父親の隣に座っていた男性が、おばあさんに席を譲りました。
おばあさんは礼を言って座りましたが、父親の方はまだ怒りが収まらない様子で「すぐそばに優先席があるじゃないか。どうしてそこに行かないんだ。年寄りだと思って、甘えるな!」と、文句を言っていました。
おばあさんは「ごめんね、ボク。悪かったね。ほんとに疲れてて、つい言ってしまったの。悪かったね」と、その言葉を繰り返しています。
中年男性に怒られているうちに、おばあさんは一駅乗り過ごしてしまいました。
O寺さんと共に降りたおばあさんは、すっかりしょげている様子でした。
O寺さんは「大丈夫!おばあさんは悪くない」と、声をかけるので精一杯だったそうです。
なぜあの時、男の子の父親にちゃんと言えなかったのでしょうか…。
「おばあさん、謝ってるじゃないですか。たとえ優先座席であろうとなかろうと、席を譲ってあげるのが、マナーですよね。息子さんが疲れてるのなら、お父さんがかわってあげるなり、二人共疲れているのなら『スミマセン。こちらも疲れてるので』で済みますよね。どうしてそこまでおばあさんを責めるのですか?」
O寺さんは、今でも満員電車のおばあさんの小さな背中を思い出し、悔やむことがあるそうです。
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