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11が起きたとき、ディズニーのキャストは独自の判断で来園者を助けました。夢の国でありながらも安全性に代わるものはなく、かといって夢を壊すことはしていません。ディズニーの魅力が引き起こした事例を紹介します。
反響を呼んだ3.11発生時の対応
写真:blog.jami-ru.com
2011年3月11に起きた東日本大震災にて液状化が報道された千葉県浦安市は、1年足らずでほぼ震災の影響を跡形もなく見せなくなりました。マンホールが浮き出し交番が傾くといった被害に見舞われた当時、東京ディズニーランドに居合わせた人数は約7万人です。震度5強の揺れはアトラクションである水上の船をぐらつかせ、噴水の水をばら撒きました。夢の国をモットーとする東京ディズニーランドのキャストは、3.
11に対してパニックにはなりませんでした。来園者に対して分かりやすい指示を出し、落ち着いて対処する姿が2011年5月8日に情報番組で報道されています。アルバイトのキャストは独断の判断で、防災頭巾として使えそうなぬいぐるみ、空腹を紛らわすために菓子を来園者に配りました。季節柄冷え込んだこともあり、夢の国でありながらも土産用の袋やゴミ袋、ダンボールを引っ張り出すことを厭っていません。安全面が確保できると怯える子供を勇気付け、座り込んだままの来園者に運動を促していました。
理念を行動に落とし込むキャスト
写真:youtube.com/watch?v=tWEQny9Htx8
東京ディズニーランドでは年間180回ほど、震度6強の大地震を想定した防災訓練が実施されています。3.
11をきっかけに、24時間体制で防火や防災に対応できるファイヤーキャスト、2台の消防車、5万人が3日ほど過ごせる非常食を用意する徹底した防災意識が明らかになりました。JR京葉線の電車が運休し、一部の帰宅難民は従業員専用通路を通ってディズニーシー側の施設へ移動するなど、来園者を守る覚悟が見て取れます。ディズニが未曾有の震災に対して柔軟かつ迅速な対応を取れる理由には、理念と仕組みが背景にあります。行動基準では安全を第一に優先し、礼儀正しさ、ショー、効率という順番で明確になっていたため、キャストは判断を下すことができました。理念を具体化するため災害時を想定した綿密な避難計画を立てており、避難所への誘導と非常食の提供が成功しています。理念を確実に行動へ落とし込む、ディズニーの体制は他企業の手本となりました。
気配りから生まれる都市伝説
写真:kochikun.liblo.jp
ディズニーランドはあくまでも夢の国です。いらっしゃいませ、など来園者を客として扱う言葉は一切使われません。掃除中に拾っているものを聞かれれば遊んでいた動物たちの片付け、宝探し、貝殻を集めてキャラクターにあげる、といったファンタジー感のある回答をします。現実味を味わわせないため手洗い場に鏡が置いていないことは、嘘か真か、と都市伝説として囁かれるようになりました。実際に、手洗い場には鏡が設置されていません。ないと困る場合があるため、手洗い場を出ると近くに鏡が見つかることがあります。
ディズニー無許可撮影の映画
写真:mondomondo.blog.fc2.com
2013年1月にサンダンス映画祭で初めて上映された「エスケイプ・フロム・トゥモロー」は、最大の問題作と世間から呼ばれています。アメリカのカリフォルニア州、ディズニーランド・リゾートと、フロリダ州のディズニー・ワールド・リゾートにて無許可でゲリラ撮影した映像を元に、長編ホラーのブラックファンタジー映画が制作されました。同年10月にアメリカ、2014年7月に日本で公開し、上映劇場の拡大と追加上映が決定するほどに大ヒットしています。関東学院大学文学部教授でディズニー文化の専門家である新井克弥さんは、「エスケイプ・フロム・トゥモロー」を見て怒るならばディズニーファン失格だと断言しました。監督であるランディ・ムーアさんのディズニー愛が溢れた作品に対して、ディズニー側は沈黙を守っています。
まとめ
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ディズニーランドのキャストたちは、来園者であるゲストの夢を壊しません。巷で都市伝説に生まれ変わる心配りは際限がなく、ファンタジーの世界がそのまま存在するかのように振る舞います。キャストの豊かな発想力を大事にし、理念を行動力に結びつけることを可能にしたディズニーは今日もゲストを楽しませています。