33分探偵とは2008年にフジテレビ系の土曜ドラマ枠で放送された堂本剛主演ドラマです。その人気を受けその後も「帰って来させられた33分探偵」、「帰ってくるのか!?33分探偵」など続編も放送されました。今でもその人気は衰えず、さらなる続編を期待する声も絶えません。そして監督は「勇者ヨシヒコシリーズ」や「銀魂」など多くのヒット作を生み出している福田雄一監督です。
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登場人物は「鞍馬六郎探偵事務所」を営む主人公鞍馬六郎(堂本剛)、名探偵フィギュア集めが趣味の探偵。放送時間33分まで持たせることを自らの使命だと思っているところから別名「33分探偵」と呼ばれています。犯人が一目瞭然であっても「33分もたせる」というのが信念です。そしてその助手武藤リカコ(水川あさみ)。比較的まともな常識人のため六郎のツッコミ役も担っています。そんな探偵事務所に事件解決を依頼する、ハードボイルドを愛する大田原警部(高橋克美)とその部下、典型的な熱血刑事茂木刑事(戸次重幸)。いつも走っています。その他に鑑識官(佐藤二郎)、情報屋(小島よしお)などが六郎を事件解決へと導きます。
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六郎の尽きることのない想像力から繰り出される「めい」推理が何よりこの作品の要であり、魅力です。そして的外れな推理をしても、犯人扱いしてしまった人には「間違えてすみませんでした」と書かれた菓子折を送ります。あとのフォローも忘れない律儀な一面もあるのです。ちなみに毎回の六郎の移動シーンにも注目です。
殺人事件というシビアな問題にもかかわらず一切シリアスにはなりません。推理モノというと犯人は誰だろうとか、その動機は?トリックは?など思わず視聴者も推理しながら見てしまいますが、この作品は余計なことを考える必要は一切ありません。ただただ見ているだけで楽しめます。
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作品の流れの大半は、「事件発生」→「犯人がすぐに判明」→「六郎だけが疑問を持ち捜査を行う」→「事件関係者が次々と犯人に仕立てられる」→「最初に判明していた通りの人物が犯人」という形が多く、犯人がわかりきっている中でいかに33分間持たせられるかというメタフィクション要素も多数盛り込まれています。そんな毎回同じパターンなのに、少しずつギャグが進化し、視聴者を飽きさせない演出になっています。バカバカしいのに、笑ってしまう。くだらないのに面白い。そんな作品になっています。
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従来の推理ドラマの体裁を保ちつつも、犯人がわかりきっている中で行われる六郎の「めい」推理。振り回される関係者。しかし、そこから意外な事実があぶり出される。そこがこのドラマの特徴であり大きな魅力の一つです。
それぞれの登場人物たちの掛け合いも見所ですが、特にクスリと笑わせてくれるのがパロディです。たとえ他局のネタだろうが容赦はありません。そんなにはっきり言っていいの?と心配になるようなセリフもあります。
そしてもう一つ、注目したいのはエンドロールです。出演者がエンドロール直前に静止画のように静止します。これは「自分ストップモーション」と呼ばれています。実はこれもパロディ。正確にいうとパロディのパロディ。しかし、このエンドロール、ただ静止するだけではありません。鼻をこよりでくすぐる、熱々のたこ焼きを頬張ったまま、などなど。とても静止できないような状況なのです。最後の最後まで目が離せません。
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お決まりのパターンでも飽きのこない作品の作り方。そして主演の堂本剛をはじめとした出演者同士の仲の良さも作品から伺い知ることができます。ストーリーや要所要所のパロディが好きな人、出演者のファン、幅広い世代にも受け入れられ、すべての人が楽しめるということはその人気の高さが証明するところではないでしょうか。