政府が新型コロナウイルス対策で全国に配ったアベノマスクの関連文書を巡り、国は、黒塗りにした単価や発注枚数の情報開示を命じた大阪地裁判決を受け入れ、控訴を断念しました。地裁判決が確定し、計45件の文書の黒塗り部分が原告の上脇博之・神戸学院大教授に開示されます。
マスクの調達を担当した厚生労働省は15日、朝日新聞の取材に対し、「関係省庁と協議し、控訴しないという結果に至った。判決に従い、手続きを進める」と答えました。2月28日の地裁判決は、単価や発注枚数の情報は秘匿性が高くなく、公にされても、納入業者の利益は害さないと指摘しています。政府はマスクを随意契約で購入しており「税金の使途の説明責任」の観点からも、国は開示を受忍すべきだとした。松野博一官房長官は今月1日の記者会見で「主張が一部認められず、大変厳しい判決内容だ」と語っていました。
白鳥浩(法政大学大学院教授/現代政治分析)は『アベノマスクの契約が、随意契約であったのであれば、その単価がいくらであったのか、という情報を国民に開示する必要もあるだろう。 しかし、その価格が高いかどうかは、その当時の社会背景を前提として考えなければならない。考えてみれば、ワクチンもない時期に、唯一身を守ることが出来るのはマスクだけ、という状態の中で、買い占めなどもある中、緊急に確保するために、場合によっては調達価格は高いものにならざるを得ないところもあった可能性はある。 そうしたことを鑑みることは必要だ。』と語っています。
西田亮介(社会学者・東京工業大学准教授)『そもそもマスクの単価や発注枚数を非開示にするべきと考えた判断が理解できない。政府の随意契約であるからこそ、それらの情報は妥当性含めて国民の批判的な視線にさらされるべきだ。その意味で、今回の司法判断や控訴断念は当然といえる。』と話しています。
ネット上では『何も裁判までしなくても、アベノマスクの単価や枚数など当初から公開すべき事柄だ。最近の自民党政治は、隠す、秘密にする、目に触れない様にする姿勢が強過ぎる。国民の疑問には真摯に丁寧に説明責任を果たすなど口先ばかりで、やってる事はその反対の事ばかりだ。その代表が赤木さん裁判の認諾だ。真実を隠したいとする政府の姿勢だ』『アベノマスクの単価や発注枚数に疚しいことがなければ、開示することは問題ないはずだ。控訴することが疚しさを認めることだから、断念したことは賢明だと言える。そもそも、アベノマスクは公金を使って調達しているのだから、国民に知る権利があるのは当たり前だ。』と言います。
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