新型コロナが5月8日から「5類」に移行され旅行や外出が本格化する中、修学旅行も復活する見通しです。歴史的名所を見て日本の文化や自然を感じたり、友達同士の交流を深めたり、楽しみにしている生徒も多いです。その一方、Twitterには「庶民には、積立金がつらい」「費用に見合うだけの学習効果はあるのか」「修学旅行は家庭と教員の負担でしかない」という疑問の声があがっています。
全国修学旅行研究協会理事長の岩瀬正司氏は「実は、学習指導要領には『宿泊行事をやらなくてはいけない』と記されています。とはいえ、宿泊行事=修学旅行とは限らず、遠足でもいいし、キャンプでもいいし、林間学校でもいい」と前提を語ります。
「修学旅行はアップデートすべき」との立場の教育研究家でライフ&ワーク代表理事の妹尾昌俊氏は「修学旅行を楽しんでいる子もいるし、思い出作りになっていいという声もあるが、課題もたくさんある。例えば、集団活動が苦手な子、みんなでお風呂に入ることに抵抗がある生徒もいる。あるいは、特定の信条がある子は『なぜ神社・仏閣を回るのか?』と思うかもしれない。また、教員も夜の見回りなどが大きな負担になっている」と課題を指摘しました。point 264 | 1
修学旅行は遠足などと異なり、3年間で積み立てを行うがこれを『高すぎる』という声も上がっています。妹尾氏も「僕は保護者でもあるが、費用は高く感じている。公立の中学校でも5~6万円、プラスお小遣いがかかる」と語り、これに対して岩瀬氏は「新幹線を使う場合にはJRの割引が受けられ、特急料金・運賃も半額。通常だと2万7000円かかるところが1万3000円で行ける。宿泊費も団体割引を受けられるので例えば京都の旅館でも2泊で1万8000円ぐらい。この値段は普通の旅行と比べてけっして高くない」と補足します。point 304 | 1
岩瀬氏は「修学旅行は授業であるため、将来的には国・自治体に負担してもらうのが一番いいと思う。財政豊かな自治体は修学旅行の補助金という形で生徒一人あたりいくらというお金を出している。そういう公的負担をきちんとしてあげないと格差が広がる」と話します。
コラムニストの河崎環氏は「日本人らしさを継承する手段として修学旅行はすごくいいものだが、今は『あの学校は海外に行くんだって。うちなんて近場だよ』という話になっている。華やかなところに行けばいいというものではなく、もっと教育的な目的、体験学習を重視すべき。一緒に寝泊まりをし、そこで学ぶマナーや感情が大事なはずだ」と投げかけました。妹尾氏も「今の修学旅行は、生徒の声をほとんど無視している。もっと話を聞くべきだ。目的は何か、学びになっているか、こんなに長く行く必要はあるのか。中止にしても継続にしても、課題についてもっとみんなで考えなければならない」と指摘しました。point 338 | 1
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