夕方ニュースのメインキャスターから、週5日のバイト生活…。「社内における迷惑行為」がきっかけでテレビ大阪を退社した庄野数馬(33)さんは、映像製作会社を経て、4月からフリーアナウンサーとして独立しました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、見込んでいた司会業などの仕事が相次いでキャンセルになってしまいました。現在は居酒屋でのアルバイトが安定した収入源です。それでも再び、大きな舞台でしゃべることを目指し、MixChannelやYouTubeでの配信を続けています。
朝起きて、YouTubeを編集し、SNSをくまなくチェック。それから取引先と在宅でオンライン会議をし、その場でナレーション収録をして納品。昼過ぎにはアルバイト先の飲食店「神楽酒」へ。夜営業の前に空きスペースを借りてライブ配信アプリ「MixChannel(ミクチャ )」で2時間の生配信。リスナー(視聴者)に「今の自分だから伝えられる」メッセージを届けま。すそして居酒屋でのアルバイトを終え、終電で家に帰ります。帰宅後、やり残したデスクワークを片付けます。そんな日々を送っています。
庄野数馬さんの職業は、フリーアナウンサー。子供の頃からの夢であった「アナウンサー」になって丸10年だそうです。局アナ時代、プロ野球の実況や報道番組のキャスターをしていた時には今の生活は想像だにしませんでした。あの頃と今では別世界です。
2010年に山口放送にアナウンサーとして入社した庄野数馬さん。その後、「どうしてもプロ野球を実況したいから」と地元のテレビ局であるテレビ大阪に転職しました。世間は「順風満帆」と評価してくれる一方で「鳴り物入りで入って来て…」という声も常に庄野数馬さんの耳に入っていました。そんな中で当時担当していた報道番組のキャスターを降板。一瞬にして多くを失ってしまいました。
『就業規則に反した』ということですが、当時何があったのかはいまだ明言されていません。ただ、もともとトラブルメーカーで『酔って一般人と殴り合い』『既婚で子どももいるが、相席居酒屋で不倫をしたがっている』『後輩女子アナへのパワハラ』という情報も一部夕刊紙から出ていました。かなり評判が悪く、恨みも買っていたといわれています。
その中でも失わなかったのが「アナウンサー庄野数馬」として生きていくことでした。2018年4月、テレビ大阪・東京営業局に異動になり東京へ。そんな中で描き始めたのが「フリーアナウンサー」に転身する事でした。
迷うことはなくもう一度、アナウンサーとして挑戦するために昨年8月、テレビ大阪を退社しました。映像制作兼PR会社へ転職しました。そこではフリーアナウンサーとして司会やナレーションの業務をする一方で、番組やイベントを「作る側」の勉強をさせてもらったそうです。いわゆる、ADの仕事から始め、動画編集など、ディレクター業務も覚えました。さらに営業マンとして、電話アポや飛び込み営業など、これまで経験してこなかった「自分に足りない部分」を鍛えました。
そして今年1月、ABEMAで「世界テニス」の実況をしたことを期に、「もう一度、しゃべり一本でどこまで勝負できるか挑戦したい」という気持ちが強くなったそうです。3月に脱サラし、4月から完全フリーの個人事業主に。とにかく世の中にある「しゃべりの仕事」をかき集めて、現場を走り回りたい、自分の声を、トークを必要としてくれる方々の期待に応えたい、そう思っていた矢先…。
出会い頭で新型コロナウイルスの感染拡大。見積もっていたイベントなどの司会の案件が全て飛んでしまいました。頭が真っ白になったそうです。
そんな中、この苦しい状況にもかかわらず庄野数馬さんを救ってくれたのが仲間のケンちゃんだったそうです。彼が店主を務める東京・神楽坂にある「神楽酒」という居酒屋で今は平日の夜、毎日働いています。慣れない皿洗いで手はボロボロ。昼間の仕事をしてからの立ち仕事で、体力的にも楽ではありません。
しかし、とても充実していると言います。お客さんとの出会い、「一対一」での会話がアナウンサー時代に比べて圧倒的に増えました。今は「目の前の人、一人一人と向き合う時なんだ」と。
ミクチャに関してもそうだと言います。配信では相手の顔は見えませんが、リアルタイムでコメントが届き、それに庄野数馬さんが答えます。しっかりと「会話」が成立するのです。それに「完全自己責任の個人事業主だからこそ出来る配信がある。届けられるメッセージがある。」そう信じて、見ている方に少しでも元気になってもらえるよう毎日、元気いっぱいにお届けしているそうです。
「アナウンサーの自分に何ができるのか」を、日々考える中で、オンラインでの話し方教室も始めました。ここではアナウンサー志望者だけでなく、企業の経営者からも相談を受けています。どんなに立場がある方でも、人前で話すことは緊張するものです。これまでの経験、庄野数馬さんが諸先輩方に教わってきたことを画面越しでお伝えしています。
さらに、子育て支援オンライン配信サイトと一緒に、「オンライン絵本の読み聞かせ教室」を開催しています。絵本作家さんに直々交渉して「参加者×作家さん×アナウンサー」が一緒に学べる配信を実現しました。
サラリーマン時代の給料にはまだまだ追いついてはいません。それでも「挑戦ができることに感謝をし、今日も私のメッセージを発信していく。」とのことです。