“世界で最も美しい自◯遺体”
1947年の5月1日。
イブリン・マクヘイルという女性が、86階にある展望台から飛び降り自◯をしてなくなりました。
しかし、その彼女の遺体が「世界で最も美しい自◯遺体(原文でも“The most beautiful suicide”)」と呼ばれるようになったのです。
なぜなのでしょうか?
飛び降りたのに美貌を保っていた遺体..
イブリンは、1923年9月20日生まれで、なくなった時は24歳でした。
カリフォルニア州で生まれ、7歳の時に銀行の審査役だった父の転勤でワシントン・D・Cへ転居したものの間もなく両親が離婚したため、子供全員の親権を取得した父親と一緒にニューヨークへ移りました。
高校を卒業すると陸軍の女性兵士となり、ミズリー州の部隊で勤務しました。
退役後はニューヨークに戻り、簿記の資格を得て会社に就職し、陸軍航空軍除隊して大学にも通い、婚約している恋人の存在もいました。
幸せを掴んでいるように見えた彼女は、ついにこの日を迎えたのでした。
仕事を終え、帰宅しながらニューヨークへ戻るとエンパイア・ステート・ビルディングに上り、柵を乗り越えて身を投じたのです。
エンパイア・ステート・ビルディングの86階展望台は屋内ではなく露天式であることで、風や車の音が直に体感できることで人気がありました。
夕方だったため眺望を楽しむには遅く、夜景にはまだ早く、あまり人は多くなかったようです。
この展望台の高さは320メートルあり、東京タワーの頂部よりも13メートル低いだけです。
(日本の飛び降り自◯の名所である福井県の東尋坊は25メートルです)。
美しすぎる飛び降り自◯の遺体
飛び降り自◯を言えば、皆さんも想像できるでしょう。
過去に、日本で飛び降り自◯の代名詞になっている当時の某アイドルが飛び降りたサンミュージックの大木戸ビルは、7階建ての30メートルの高さですが、後頭部を強打して脳が飛び散ったひどい現場写真は雑誌で衆人の目に晒されてしまいました。
それほど、飛び降りた遺体にはかなりの衝撃が加わり、遺体はかなりひどい状態にあるはずです。
しかしイブリンが飛び降りたエンパイア・ステート・ビルディングは、320メートル。
東京タワーの頂部よりも13メートル低いだけの展望台から身を投げたイブリンの遺体は、信じられないほど美しい姿だったのでした。
イブリンは、路上に駐車していたリムジンの上に堕ちました。
それでも、この高さから飛び降りても身体が四散することなく、服装も大きくは乱れておらず、何よりも美貌を保っていたことには驚くしかないでしょう。
足首を交差させ、まるでまどろんでいるかのような穏やかさであり、白い手袋で真珠に手を添えるといったエレガントさ。
今にも起き上がりそうな美しさです。
イブリンのこの写真は、「最も美しい自◯」と呼ばれ、ライフマガジンの1947年5月12日号にも掲載されたそうです。