風景が素晴らしい、登場人物たちの人間模様に引き込まれるなど、感動する映画にもいろいろありますね。ニューヨークの片隅で出会った二人による感動のストーリーといえば「レオン」です。
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人種のるつぼといわれるアメリカ合衆国の中でも、ひときわ喧噪であふれる街ニューヨークで、主人公レオンは孤独な日々を送っていました。彼の職業は「掃除屋」、依頼を受けてターゲットを始末する殺し屋だったのです。そんな彼に屈託のない笑顔を向けたのは、アパートの隣の部屋に住むマチルダでした。彼女も継母や義理の姉に疎まれ学校にも居場所がなく孤独だったのです。ある日麻薬捜査官のスタンフィールドがマチルダの家を訪問しました。実は、マチルダの父は麻薬の密売人であり、捜査官でありながら密売にかかわっていたスタンフィールドたちから麻薬の一部をかすめ取ろうとしていたのです。知らないと突っぱね続けるマチルダの父ですが、スタンフィールドら捜査官にマチルダを除く家族全員が射殺されてしまいました。
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レオンのために牛乳を買いに行っていたマチルダだけは生き残り、瞬時に何が起こったのかを悟ったマチルダは素知らぬ顔で我が家を通り過ぎ、レオンの部屋をノックします。こうしてレオンはマチルダを救い、レオンが殺し屋だと知ったマチルダは「家族を殺した奴らを殺して」と願うのでした。レオンは「すべてを忘れて生きろ」と諭すのですが、マチルダは「それなら私に殺し方を教えて」と殺し屋としての指南を受け、代わりにレオンに読み書きを教えるという交換条件を申し出るのです。すっかり彼女のペースにのせられるレオンですが、孤独だった日々はマチルダのおかげで彩り豊かになり、守るべき家族のいる生活に少しずつ安らぎを感じていくのでした。
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銃の手入れ、敵との交渉の仕方など実践を通してマチルダに教え続けるレオンですが、マチルダの「あなたが私の初恋の人よ」と告白されたとき、なぜ自分が一人でニューヨークに生き、恋人を持たずにいるのかを告白します。子どものマチルダに誠意を込めて話すレオンの悲しい思い出は、それだけでも感動する映画になりそうなストーリーでした。無邪気に「好きよ」というマチルダ、人生の苦さをかみしめて生きてきたレオン、二つの孤独な魂はお互いへの愛に満ち溢れていました。
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しかし、マチルダは復讐を忘れたわけではありませんでした。自分の家族を殺したのが麻薬捜査官のスタンフィールドだということを突き止めたマチルダは単身乗り込みます。あっけなく見破られ、とらわれたマチルダを助けに来るレオンは冷徹な殺し屋そのものでした。けれど泣きながら飛びついてきたマチルダを抱きかかえるレオンの表情は愛情にあふれていたのです。
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仲間を殺されたことを知ったスタンフィールドは、レオンとマチルダへの襲撃を開始します。一度は敵の手に落ちたマチルダでしたが、うまくレオンに襲撃を知らせて自らもレオンのもとへたどり着きます。一緒に逃げようと泣き叫ぶマチルダに「必ず生きて迎えに行くから」とレオンは自分の大切な「友達」だった観葉植物を持たせて逃がすのでした。殺し屋のスキルで生き延びようとするレオンでしたが、アパートの出口まであと数歩というところで、スタンフィールドに見破られてしまいます。勝ち誇り勝利宣言をするスタンフィールドに「マチルダから」と渡したものは、手りゅう弾のピンでした。レオンは体中に手りゅう弾を巻き付けていたのです。自分の命を懸けて、マチルダを守りマチルダの願いをかなえたのでした
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どんなに待っても待ち合わせの場所に来ないレオン、マチルダは悲しみにくれます。一人ニューヨークの街を行くマチルダがたどり着いたのは、かつて飛び出した寄宿学校でした。レオンが願っていたように、殺し屋ではない人生を歩むために、彼女は学校へ行き助けを求めたのです。
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全体を通して殺伐としたシーンが続くだけに、レオンとマチルダの二人のコミカルさがほんわりと温かく感じられます。大人たちは子どもであるマチルダにとても冷たく、一番優しいのは殺し屋であるレオンというのが切なく感じます。長年にわたって感動する映画に挙げられる作品です。