7月28日に行なわれた東京五輪の卓球競技女子シングルス準々決勝で、伊藤美誠選手は韓国のエース、チョン・ジヒ選手を相手に、4-0のストレート勝ちで、相手に力の差を見せつけました。
この日、絶好調の伊藤選手は、隙を与えることなく終始、主導権を握り続けていましたが、中でも圧巻だったのは第2ゲームでした。
開始早々10連続ポイントを奪うと、そのまま11-0で勝利すべく、バックハンドをお見舞いするも、惜しくもアウトとなりました。ですが、11-1と韓国のエースを完璧に抑え込んでみせたのです。
しかし、この伊藤選手のプレーに激怒したのが、卓球を国技とする中国です。同国のスポーツメディア“網易体育”では「クレイジー!伊藤が韓国のエースを叩きのめし不遜な発言『これが私のスタイル』」と見出しを打ち、「伊藤が6分の間容赦なく攻撃し続け、11-1。人間らしさがまったくない」と、10-0の状況でも全力でポイントを取りに行ったことについて批判しました。
なぜこんなにも中国が怒っているのかというと、卓球では相手を0ポイントに封じてセットを取ることを“ラブゲーム”といい、礼節を欠く行為としてマナー違反とされています。
前述した伊藤選手の第2ゲームも未遂にはなりましたが、全力で11-0を狙う姿に、中国側も黙っていられなかったようです。しかし、彼女をバッシングする日本のファンはほぼゼロで、むしろ常に全力プレーを見せようとする姿に好感を持った人がほとんどでした。
中国は卓球が国技だからこそ、伝統を重んじているのでしょうが、真剣勝負中に手を抜き、わざとポイントを与えることの方がよっぽど敬意を欠くプレーだという声が上がっているのも事実です。
何事も全力を重視する日本と伝統を重視する中国、2つの”常識”に、いささか違いが生まれているのかもしれませんね。