日本にはそういった儀式があるわけではありませんが、割礼といった言葉を聞いたことはあるでしょうか。男の子を持つママであれば少なからず悩んだことがあるであろう、子どもの包茎に関する儀式です。生まれたばかりの男の赤ちゃんは、おちんちんのさきの亀頭部が完全に包皮で覆われているのが普通です。もし剥けてしまっていると先天性の異常である可能性もあります。では包皮はいつ剥けていき、どうやって剥けばいいのでしょうか。
宗教やお国柄でも剥ける時期は異なる
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日本ではママたちの間ではいつ剥けるのか、どうやって剥いたらいいのか話題に上ることもしばしばあります。乳児検診で不安になって医師に相談する人も多いですが、成長に合わせて自然に剥けるのを待つのが一般的です。
ところがアメリカでは乳児期に7割近くが包皮を切除する手術を受けていました。学会の発表において意味がないという発表がされてからは、徐々に手術をする割合は減少し今では5割程度にまで減っていますが、それでも日本よりははるかに高い数字となっています。生まれた時に包皮を剥く手術を受けた方が、乳児期の尿路感染率が低いというデータがあることもあり、本人の意思ではなく両親の意思によって手術を行うことが多いのです。
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ところが尿路感染の原因は包茎だけでなく衛生環境も大きく関係しており、1歳以上になると男児の尿路感染率は大幅に減少することが分かっています。そこで生後間もない赤ちゃんに局所麻酔とはいえ麻酔を施し、手術を行うことはあまり意味がないという考えが広がっており、今後アメリカでも手術は減少していくものとみられています。
そういった医学的な根拠により割礼の有無がなされる国がある中で、宗教上の理由ということで今でも積極的に行われている国もあります。ユダヤ教やイスラム教を崇拝する国では今でも割礼の儀式が行われています。
歴史が深い割礼の文化
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宗教上の理由から割礼を行うという儀式は、かなり昔から行われてきました。エジプトの古代遺跡には今でも儀式の様子が描かれていますし、ユダヤ教の歴史が書かれている出エジプト記にも割礼を行っていない者は食べ物を食べてはいけないと記されています。このようにユダヤ教を信じる人の間では、割礼の儀式は避けて通れないものであり、神様への信仰心から今でも儀式が行われているのです。
イスラム教はユダヤ教の習慣を受け継いでいる宗教です。そのためにイスラム教においても割礼が重要な習慣となっています。特にスンニ派においては、することが望ましい慣行という位置づけをされており、熱心な信徒が多いイスラム教では今でも盛んに行われています。
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古くから割礼を行っている文化的背景には、繁殖を促す目的があると考えられています。亀頭が包皮に包まれている状態が続き炎症を起こしてしまうと、医療が発達していない古代では生殖機能を失ってしまう可能性もありました。そのためにも、早いうちに割礼を済ませ、大人として自立させるといったことが行われてきたのです。
割礼というと男性性器だけのものと思っている人も多いようですが、アフリカなどでは今でも女子割礼の風習が残っている国があります。男性と女性の扱いが異なる国では、女性の性欲抑制や性行為を防ぐために女性器を縫合したり切除したりすることもあるのです。このように割礼がまだまだ深く根付いている国はたくさんあるのです。
まとめ
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日本では男の子が生まれると、おちんちんを剥くかどうか悩むママも多いものです。一般的には成長に任せて自然に剥けるのを待つことが多いのですが、アメリカでは今でも半数程度の人が乳児の頃に手術によって包皮を剥く外科手術を受けています。またイスラム教やユダヤ教では宗教上の理由から割礼を行っている国もあり、こうした儀式は古代から現在に至るまで行われているのです。アフリカでは女性が割礼を受けて性器を縫合されたりする国もあり、いまだに文化が根強く残っているのです。point 294 | 1