連続中毒死事件
横浜市の大口病院(現・横浜はじめ病院)で起きた連続中毒死事件で、久保木愛弓容疑者が殺人容疑で逮捕されました。
が弱った患者に狙いを絞り、薬品混入に手を染めた異様な犯行形態が明らかになりました。多人数に投与したことを認め、「極刑も覚悟している」などと供述しています。
どんな事件だったの?
旧大口病院で起きた、連続点滴中毒死事件。2016年9月18日に、西川惣蔵さん(88)が、9月20日に八巻信雄さん(88)が亡くなっています。9月20日に、職員が点滴が泡立っていることに気づき、通報しました。検死の結果、2人とも、界面活性剤による中毒死であったことが発覚しています。
2人が入院していた同病院の4Fの看護師だった、久保木愛弓容疑者が走査線上に浮かびました。9月18日当日、久保木容疑者は午後5時から開始の夜勤当番でありましたが、同日午後3時から始まった日勤担当者との引き継ぎ業務に参加していたようです。
この時間帯に同僚の看護師が、(久保木容疑者が)西川さんの病室に1人で入る様子を目撃していた。西川さんの容体は同4時50分ごろに急変した。
目立たない存在
久保木容疑者は幼少期から目立たない存在だったようです。両親と弟の4人家族。小学生時代を過ごしていた水戸市のアパート管理人は、「近所の子供たちが遊んでいるのを一歩引いてみている引っ込み思案な子だった」と振り返っています。中学のときに父の仕事の都合で神奈川県伊勢原市へ転居し、やがて高校に進みました。
そこでも、おとなしく内気な性格は変わらなかったようです。愛称は「あゆ」。同級生は「授業中に発言は絶対にしない。体育祭などの行事では、とりあえず後ろからついていくような消極的な人だった」と語っています。髪を染める生徒も多かったが「外見も黒髪で地味だった」。
・同級生男子「写真を見て、いたな、という感じ。関わってなかった」
・同級生女子「全く知りません。見たこともありませんね。」
・クラスメイト女子「質問したことに対しての返事だけ返ってくる。『久保木さん、これでいい?これでどうかな?』と聞くと『いいと思う。それでいいよ』とかその程度。会話のキャッチボールができない感じ。」
職場ではトラブルが?
当時、病院内で起きていた別の事件がありました。看護師のエプロンが裂かれる事案が発生していたようです。別の看護師のペットボトルに刺激臭のある異物が混入される騒ぎもありました。
同僚らの間では久保木容疑者の犯人説が流れていたといいますが、本人は今も「違う」と訴えています。看護師間でのいじめのような陰湿な人間関係があったのでは、と指摘する関係者もいるようです。
久保木容疑者は3つの病院での勤務歴がありましたが、関係者らによると、実際にトラブルを起こしたのは大口病院だけだったとされています。暗い職場環境のもと、次第に精神をゆがませていったのでしょうか…。
遺族に経緯を説明する必要が苦手だった
別の総合病院での勤務を経て、終末期の患者を多く抱える大口病院に入ったのは27年5月。「(終末期の患者は)手がかからず楽だと思った」。多くが看護師としての職責に誇りを持つ中、久保木容疑者は転職理由をこう打ち明け、周囲を驚かせていたようです。
しかし職場では日常的に死があり、人と接するのが苦手な久保木容疑者にとって遺族への経緯説明はハードルが高かったようですね。内向的な性格に院内の複雑な人間関係、そして日々突きつけられる死。「自分の勤務時間帯に患者が死ぬと遺族に経緯を説明する必要があり、それが苦手だった。だから担当時間外に薬品を入れて殺した」。逮捕後の調べに久保木容疑者は、そう動機を明かしています。さらに「(事件発覚の)2~3カ月前から(多くの患者に)混入を始めた。だんだん感覚がマヒしていった」とも話していたようです。
まとめ
遺族に経緯を説明するのが嫌で、殺人を犯した久保木容疑者。恐ろしいですね。