愛知県警守山署は5日、放射線障害防止法違反などの疑いで、名古屋市守山区守山に在住の会社員、市川貴紀容疑者(34)を逮捕しました。放射性物質の「アメリシウム241」は、密封されており、周囲で健康被害は確認されていないということです。同署は動機や入手経路を詳しく調べるとしています。
警察によると、市川容疑者は今年4月、自宅アパートで、放射性物質の「アメリシウム241」が入った容器8個を国の許可を得ずに隠し持っていたほか、爆発物の原料となる「塩素酸カリウム」およそ157グラムを保管していたとして、放射線障害防止法違反などの疑いが持たれています。市川容疑者は調べに対し、アメリシウムについては容疑を認めていますが、「塩化カリウムを電気分解したが、塩素酸カリウムができたという認識はない」と一部否認する供述をしているということです。
今回の逮捕は、名古屋市で元大学生が高い殺傷力がある爆発物「過酸化アセトン」などを製造したとして、3月に実刑判決を受けた事件の関係先として、警察が市川容疑者の自宅を捜索したところ見つかったということです。アメリシウム241は「煙感知器」に使われることがある人工の放射性物質で、体内に取り込まれると内部被ばくするおそれがあるということで、警察が入手ルートなどを調べています。
同容疑者は爆薬製造事件などで有罪判決を受けた元大学生の男と会員制交流サイト(SNS)で交流があったこともわかっていて、同法違反容疑で4月に都内で書類送検された男子生徒もこの元大学生とやりとりしていたことが判明しました。東京都内の高校2年の男子生徒は、高性能爆薬を製造したなどとして4月に火薬類取締法違反容疑で警視庁に書類送検されていましたが、無許可で放射性物質「アメリシウム」を所持していた疑いがあることが6日、新たに捜査関係者への取材で明らかとなっています。
逮捕された市川容疑者や、男子生徒との繋がりが明らかとなった元大学生とは、2018年8月に高性能爆薬や3Dプリンター製の拳銃を製造したとして逮捕された名古屋市に住む大学生(19)です。爆発物取締罰則違反などの罪に問われ、懲役3年以上5年以下の不定期刑が言い渡されています。男子生徒は、この元大学生とSNS上で高性能爆発物の材料に使われる四硝酸エリスリトール(ETN)の製造方法についてやり取りしていたとみられています。
元大学生への愛知県警による捜査の過程で、元大学生が今回の少年ら数人とやり取りしていたことが判明し、警視庁公安部などが昨年10月に関係先を家宅捜索し、少年の自宅からもETNを押収していました。男子生徒について警視庁は放射線障害防止法違反容疑に当たるとみて立件を検討しているとのことです。新たな繋がりが発覚した今回の事件ですが、市川容疑者と男子生徒との間には接点があったのか、引き続き警察の調査に注目が集まりそうです。