過去、静岡県内の劇場関係者が、映画館での“スマホいじり”への対応に 苦慮していると…
周囲への配慮を欠く上映中の使用に非難の声が上がる中、電源を切ることを強要まではしないさまざまな事情も…
より多くの人に鑑賞を楽しんでもらうため「人の迷惑になっていないかを考えて」と呼び掛けていました。
「携帯電話はご遠慮ください」「電源をオフに」。上映前に流れるマナーCM。作品の撮影や録音の違法性を訴えて制作者の権利を守るとともに、鑑賞に集中できる環境の必要性にも思いを至らせる狙いがあるといいますが…
鑑賞の妨げになるが、使用が認められるケースも?
暗闇でのスマホ使用は液晶画面の明るさが目立つほか、顔や服に当たる光もスクリーンから外れたところで目に入りやすい。服やかばんで隠すなど手元だけで見ているつもりでも、鑑賞中に使われれば気になるという人は多いのが実情です。
時にクレームも届く状況から、映画館側は上映前に電源オフをアナウンスします。マナーCMでは、上映中のおしゃべり、前の座席を蹴る、などの迷惑行為についても慎むよう繰り返し喚起しています。
それでも鑑賞の妨げになる行為に遭遇した人からは「注意してほしい」とスタッフに声が掛かることも。
静岡市葵区のシネシティザートの池田圭介支配人は「周りの人たちが困っているということを伝えるようにしている。だいたいは理解してもらえる」と話します。映画館によっては通常なら認めていない席の移動や 払い戻しなどの対応もあるようです。
上映中にスマホの画面を開いてしまう理由として「大事な連絡がないか確認したい」と釈明する人は少なくないようです。音の鳴らないマナーモードに設定した上で、すぐに退出しやすい出入り口近くの席を選ぶ人も見られるといいますが、「悪びれる様子もなく続けられるよりはまし」との見方もあるようです。
最終的な判断を個人のモラルに委ねる理由の一つに、スマホの使用が認められるケースがあることが挙げられます。目や耳が不自由な人に対応するバリアフリー上映は、スマホの機能を使って副音声や文字情報を得ながら鑑賞が可能になります。多くのメジャー作品で導入され、付添人が操作することもあるようです。
わずかな時間でもスマホを手放せない?
静かに鑑賞する常識にとらわれない上映スタイルなども増えました。コンサートを体験するライブビューイングや、劇中の人物に声援を送ったり掛け合いを楽しんだりできる応援上映は 「本当のファンはルールを徹底しているが、出来心で撮影しようとする人もいる。もちろんだめです」(静岡県中部の映画館スタッフ)。
改めて苦言を呈しながらも「わずかな時間でもスマホを手放せない人が多いことを実感する」と続けました。
一方で、制作者や出演者、作品への敬意に支えられているケースも。
浜松市中区で アート系の作品を扱うシネマイーラは、全国のミニシアターとともにマナーCMを取り入れたが 「もともとそれほど問題は感じていない」と榎本雅之館主。
「本当に見たい人が集まって、少しも見逃したくないという雰囲気がある。周囲が不快に思うことなど、やられて嫌なことはしない」と公共スペースの基本に触れました。
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