アメリカ・オレゴン州ポートランドの高校で今年、教室に散弾銃を持ち込んで自殺しようとした生徒から、職員の男性が銃を取り上げる出来事がありました。当時、職員は生徒に体当たりしたと伝えられていましたが、検察がその様子が収められた映像を公開しました。そこに映っていた職員の行動に、多くの人が心打たれています。公開した映像に映っていたのは、職員が生徒を抱き締める姿だったのです。
View this post on InstagramADVERTISEMENT Police eventually arrived and took the student into custody.
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オレゴン州マルトノマ郡地区検察の発表によると、ポートランドにあるパークローズ高校で今年5月、男子生徒が散弾銃を持って教室に入りました。生徒はこの銃で自殺するつもりだったそうです。
検察が18日に公開した防犯カメラの映像には、廊下を歩いてきた生徒が教室に足を踏み入れる様子が映っています。
この場にいたのが、アメリカンフットボール部と陸上部のコーチ、そして警備員として生徒たちを指導しているキーノン・ロウさんでした。教室から出てきたロウさんは、右手に散弾銃を持ち、左手で生徒を抱きかかえるようにしていました。散弾銃は廊下にいた別の職員が受け取りました。
ロウさんは廊下に出て両腕を生徒の身体に回すと、背中をさすり、引き寄せて抱き締めました。2人はそのまま廊下に座り、間もなく到着した警察が生徒を逮捕しました。
事件を担当したポートランド警察は、「(現場にいた)すべてのスタッフが素晴らしい働きをしてくれました。」とコメントしています。
ロウさんはオレゴン大学で活躍していた元フットボール選手です。「あの時はこの生徒のことを思っていました。彼に哀しみを感じました。多くの時に、とくに自分が若い時には、それが終わるまで自分がなにをしているか気がつかないものです。
あの部屋に自分がいたことには意味があると感じています。彼は私があの部屋にいるとは知らなかったし、私の人生で起きたことのいくつかは、あの一瞬のために準備されたものだったと思います。」と振り返りました。
検察によると、生徒は別の生徒に自殺をほのめかしていました。自分以外に銃口を向けることはなく、キャンパス内では発砲しませんでした。銃弾は1発しか入っておらず、引き金を引こうとしたものの撃つことができず、ロウさんが銃を取り上げました。
検察は、決然とした、勇気と思いやりに満ちた行動だったとロウさんを称賛しています。
生徒は銃器の不法所持などの罪を認めて3年間の保護観察処分を言い渡され、精神衛生治療や薬物乱用の治療を受けています。