2000年代の恋愛ドラマの名作と言えば、「ビューティフルライフ」でしょう。放送文化基金賞本賞受賞作品です。北川悦吏子の脚本で、車いすに乗り、不治の病をかかえたヒロインと、美容師男性の恋愛を描いたドラマです。
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最終回では、41.
3%という高視聴率となりました。相手が身障者であることをまったく気にしない木村拓哉演じる主人公が、ヒロインを生涯の伴侶にすべく、何の躊躇もなく突き進んでいきます。それを阻む障壁と言えば、ヒロインの不治の病、という設定です。世の風潮や既成概念にまったくこだわらない主人公のまっすぐさが印象に残り、それを気にするヒロインが、それまで期待していなかった普通の恋愛にとまどいながらも夢中になっていきます。
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現実には、映画「ジョゼと虎と魚たち」で妻夫木聡が演じた主人公のようなケースが多いでしょうから、「ビューティフルライフ」はちょっと現実離れしたドラマ、と感じられないこともありませんが、ドラマがごく自然に淡々と進んでいくため、「ビューティフルライフ」のようなあり方もあるかもしれないと感じさせるものがあります。ありそうな話にも感じられるから、41.3%という驚異的な視聴率を獲得したのかもしれません。
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「やまとなでしこ」も名作ドラマです。コメディータッチで、楽しく見られるドラマであり、大ヒットしました。2000年のドラマですから、もうひと昔前とも言える作品となります。当時はまだ、女性のほとんどが結婚をするものとなっていて、結婚相手を見つけることが、女性の至上命題のように考える風潮もありました。その様子をコミカルに描いた作品で、結局、お金持ちと結婚することを人生の最大目標にしていたキャビンアテンダントは、大金持ちの求婚者を断り、お金に困っている愛する男性を選びます。あなたといると、私は幸せだから、という理由で。それが最高の贅沢であるということが、メッセージになっているような作品です。
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「二千年の恋」も恋愛ドラマの名作です。連ドラの女王と呼ばれていた中山美穂と、国際的俳優の金城武の共演作品です。のちに大女優となった仲間由紀恵が、中山美穂の妹役で出演しています。このドラマでは、架空の国が設定されたりしていて、等身大のドラマとは言えない面もありますが、そうしたことを無視して、恋愛ドラマとして見るとたいへんな名作だとわかります。
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特に中山美穂の、恋する女性としての表情が秀逸で、素晴らしい女優だと感心させられます。現代日本の日常にはあり得ない設定ではあるものの、見返りも未来も求めずに、ただ相手のことを気にかけ、どうしようもなく魅入られていく心情が描かれていきます。冬のドラマであり、寒々とした状況設定が多い中で、お互いに相手を気遣う気持ちが痛いほどに暖かさを感じさせます。BGMももの悲しげで、金城武の置かれた状況が痛々しさが際立つ感じでした。
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「空から降る一億の星」も、名作です。木村拓哉と明石家さんまが共演した作品で、この二人には珍しく、たいへん深刻なドラマです。木村拓哉は施設で育った身寄りのない主人公を演じています。乾いた危険な男性です。そして、そうとは知らず、実の妹と恋愛関係になるという話です。ただ、このドラマでメインになるのは、そうした関係ではなく、乾いた心の主人公が、愛するひとりの女性には、献身的に無償で尽くすということでしょう。実の妹であるということは知らず、ただ、どうしようもなくいとおしくて、自分をなげうってでも尽くそうとします。快楽殺人をするような主人公が見せるそうした面が、切なさを感じさせるドラマです。最後は悲劇に終わりますが、悲劇とも感じられないような感動があります。