グリム童話のシンデレラは、実写版映画が公開されるほどに歴史を積み重ねてきました。現実味を大胆に足した映画には、グリム童話にないメッセージ性が生まれています。実写版の特徴と、グリム童話の特徴を知りましょう。
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ディズニー制作の実写版映画で王子役が語ったメッセージ
写真:TVグルーヴ
2015年4月25日、ディズニー制作の実写版映画「シンデレラ」が日本で公開されました。登場人物のシンデレラ役にリー・ジェームズさん、王子役にリチャード・マッデンさんが選ばれています。監督を務めたのは「マイティ・ソー」などを手がけたケネス・ブラナーさんでした。2015年4月22日にモデルプレスが発表したインタビューでリチャードさんは、シンデレラに愛してもらえる価値のあるキャラクターを演じることにプレッシャーがあったと答えています。苦境に立たされて救いを待つという考え方は今の女性に教えるべきメッセージではなく、女性に対する立ち居振る舞いや、敬意の払い方などを教える男性像を作り上げる責任を感じていました。
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現代的な王子を演じたいリチャードさんは、王子に会わなくても平気そうなシンデレラが描かれた脚本は見事だったと語っています。映画の見所である舞踏会の撮影シーンでは、リーさんが階段から降りてきた瞬間にプレッシャーがなくなったと話していました。実写版映画のシンデレラに登場する王子のいいところは女性に限らず、周囲の人々を尊敬して経験してきた内容をよく理解している、自分の特権をはっきり知っているところだと述べています。映画を通して、シンデレラは毎日幸せを見つけて何も持っていなくもハッピーであるという、自分の状況の見方が大事であるというメッセージを受け取って欲しいとしています。
観客の望む作品作りを意識した継母役
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シネマトゥデイは2015年3月5日、実写映画版「シンデレラ」にて継母役を務めたケイト・ブランシェットさんのインタビューを公開しました。ケイトさんは継母の人間性を見ることができるといった監督の思いを汲み取り、夫の愛情が注がれるシンデレラへの嫉妬深さを表現したと明かしています。観客が望む作品にするため、主人公のシンデレラのキャラを生かす脇役に徹したと述べました。バランスを取るために自身の演技力をフル活用したことで、満足げな様子を見せています。
魔法使いのいないグリム童話
写真:ディズニー
大久保ゆうさんの翻訳によると、グリム童話のシンデレラに魔法使いは登場しません。シンデレラの母が眠る墓のそばに植えられたハシバミの枝が成長し、木に止まった小鳥がシンデレラの願いを叶えます。継母の言う通りにするもパーティに連れて行ってもらえなかったシンデレラがハシバミの方へ呼びかけると、鳥が金銀のドレスや絹の靴を持ってきました。パーティでは夜がふけるまでダンスを続けた後、王子からシンデレラの家まで行かないかと提案されて、シンデレラは逃げ出します。3日間のパーティで最終日に借りた靴は、金の靴でした。帰る時間に慌てていると階段の途中で落とし、靴を拾った王子はシンデレラの家へたどり着きます。継母は喜び、上の姉に足の親指を切らせて靴を履かせました。王子と一緒に城へ行こうとする途中に、ハシバミの木にいた鳩が歌いながら告げ口します。王子は再度シンデレラの家を尋ね、次に継母は下の姉にも無理矢理に靴を履かせますが、鳩は本当のお嫁さんではないと歌い続けていました。やがてシンデレラが本当のお嫁さんだと発覚し、王子は城に連れていきます。ドイツ語原文の版によっては複数異なる箇所があり、靴を落とす課程や、最後に結婚式へ行った2人の姉は鳩に両目を食べられるという記述が加えられています。
まとめ
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ディズニーはグリム童話のシンデレラを元として、1950年にアニメーション映画、2015年に実写版映画を発表しました。ファンタジー感やリアル感を追い求める姿勢は時代に合わせてアレンジし、落とし込む技術を発揮しています。グリム童話のシンデレラにも鳥が喋るファンタジー要素が組み込まれている一方で、恐ろしい面を見せる特徴があります。