かつて渋谷駅に通い続けた忠犬ハチ公は、亡くなった主人の帰宅を待ち続けたことであまりにも有名です。
死去した飼い主の帰りを東京・渋谷駅の前で約10年間、迎えに通ったという犬です。犬種は秋田犬で、名前はハチ。「ハチ公」の愛称でも呼ばれています。
渋谷駅の前にはハチの銅像が設置されており、この「忠犬ハチ公像」は渋谷のシンボルともなっています。
たとえ飼い主が犯罪者であろうとも、自分に愛情を注いでくれた人であれば、犬にとっては唯一無二の大切な存在です。
アルゼンチンの地方局「トゥクマン・ア・ラス7ニュース」によると、ゴールデン・レトリバーの雑種「シェイラ」の飼い主の男が暴行容疑で逮捕されて有罪になり、警察署の留置施設で3年半の刑期を務めているといいます。
男が逮捕されたその日から毎日、警察署の前に座り続けて約1年になります。
シェイラの忠犬ぶりに、警察署の関係者だけでなく、町の人々も心をつかまれました。
そのうち警察官らはシェイラに餌を与え始めたり、飼い主に面会させたり、時には飼い主が収容されている監房の前で寝かせてやるなどして、シェイラの主人を思う気持ちに報いているといいます。
最初こそ、シェイラは警戒心を露わにしていたが、シェイラも警察官らに懐いてくるようになりました。パトロールにも同行するようになり、シェイラは警察官らにとって大切な家族の一員となりました。
しかしそれでも飼い主に対する忠誠心は変わらず、時間があれば警察署の前に座り、帰りを待っていました。
驚かされるのはそれだけではありません。シェイラが他の犬に襲われて瀕死の怪我をした時にも、なんと警察が獣医院へ連れていったのです。
シェイラは、ある日ブルドッグに攻撃されかなりの怪我を負ってしまいました。
警察官は、すぐにシェイラを獣医院へ運び、治療を受けさせました。シェイラは、15日間の入院を必要とするも、その治療費は警察側が全額負担しました。幸いにもシェイラはその後、完全回復しました。元気になって再びもとの場所へ戻り、いつものように飼い主を待ち続けています。
「飼い主が刑期を務め上げたら、あの子は一緒に帰ることになるでしょう。そうなったら、寂しくなるでしょうなあ」とファン・ホセ・マルティーニ副署長は語っています。
1987年に公開された日本映画「ハチ公物語」のリメイク作品で2009年に公開されたリチャード・ギア主演の映画「HACHI 約束の犬」の影響か、「HACHIKO」は世界中で知られているようです。「アルゼンチンのハチ公だ」と話題になっています。
犬と人間の絆は深い。飼い主が人間界でどんな罪を犯そうとも、彼らにとっては忠誠を尽くすべき大切な存在なのです。
今日も世界のどこかで、“忠犬ハチ公”のように、帰らぬ飼い主を待ち続けている犬が複数存在しているのかもしれません。シェイラ、ハチ公は10年待ったのです。あと2年半、頑張れ!