インドネシア高速鉄道…2015年中国が落札。今回も日本は外されるのか?
2015年にインドネシアのジャカルタ・バンドン間高速鉄道建設計画をめぐり、日本と中国が激しくぶつかり合ったことがあった。
ジャカルタ・バンドン間高速鉄道建設計画とは首都ジャカルタと西ジャワ州バンドン間150kmを結ぶ計画で、将来的にインドネシア第二の都市である東ジャワ州スラバヤへの延伸が計画されている。
東南アジアにおいて最初に開通する高速鉄道となる予定である。
日本および中国が高速鉄道システムの売り込みを行い、入札を競ったのだが、最終的に中国が落札したのだった。
インドネシアの高速鉄道事業における日中の競争
実は日本は2009年から新幹線の導入をインドネシアに提案していた。
ジャカルタ – スラバヤ間730kmはインドネシアで最も人口密度が高い区間であり、旅客および貨物輸送において慢性的な渋滞が発生していたのだ。
計画は順調に進んでいるとみられていたが2015年にインドネシアの政権が変わり、高速鉄道計画を費用がかかりすぎるとして中止を表明した。
その後、この計画に中国が受注競争に名乗りを上げ、最終的に日本は外されたのだった。
中国側の提案は、インドネシア政府の要望に全面的に応え、インドネシア政府の財政支出や債務保証を必要としないというものだったためだ。
つまり中国側がリスクを引き受けたというわけだ。
リスクを負ってまで中国が参入した理由の1つとして、アジア諸国へのアピールがあったといわれている。
中国側がリスクを負ったわけだから、インドネシア側が本物の勝利者だと言えるだろう。
なぜインドネシアは中国を選んだのか
当時、インドネシア側は日本との関係も保持する意向を見せており、ジャカルタ・スラバヤ鉄道の高速化では日本に協力を求める方針だと言われてきた。
しかしその流れがここにきて変わってきているのだ。
スマルディ運輸相は6日、’日本の受注が決まったわけではない。中国の入札を歓迎する’とコメントしたというのだ。
というのも事前に線路の調査を行ったところ予想以上にカーブが多く、当初想定の5倍もの予算が必要になることが発覚したためだ。
以前同様にまたしても予算の問題が日本の足を引っ張っているのか。
一方で、このインドネシア政府の方針の揺れには、政権内の勢力争いも関係していると思われている。
カラ副大統領は日本の投資受け入れを主張している。
しかしジョコ大統領は中国の投資受け入れに積極的だというのだ。
先日行われたジャカルタ州知事選挙ではカラ副大統領とジョコ大統領が別の候補者を支持するなど、政治姿勢の違いが表にあらわれている。