歌と言えば何を思い浮かべますか?メジャーなのはやはりロックやポップ、大人っぽくクラシックや、日本人らしく演歌など。ではシャンソンというものをご存知ですか?日本ではあまり知名度の無いシャンソンについてご紹介します。
そもそもシャンソンって何?どんな曲があるの?
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シャンソンとはフランス語で歌という意味の言葉。なのでフランスでは特定のジャンルを指すわけでも、特定の楽曲を指すわけでもなく「歌全般」をシャンソンと呼びます。ではシャンソン歌手とは?そのままの意味なら「歌歌手」という頭痛で頭が痛くなるような意味になりますが、日本におけるシャンソン歌手ならびにシャンソン曲というものは1960年代までに流行した、フランスの「歌謡曲」の事。そしてそれを日本語訳にしたものを歌う人がシャンソン歌手です。代表曲は「枯葉(原題:Les Feuilles mortes)」や「パリの空の下(原題:Sous le ciel de Paris)」などがあります。歌謡曲が元であるため、歌自体に物語性があって、まるでミュージカルのように歌手が演じ、個性を発揮して歌うことができるという特徴が魅力です。詩を1つの曲として完成し、歌という形で演じる。それがシャンソンなのです。
シャンソンの元、フランスで有名なシャンソン歌手
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シャンソンはフランスの歌謡曲を日本語訳したものですが、歌っているものは歌詞が和訳されただけのフランス歌謡曲。なので言語が違えどフランス歌謡曲を専門に歌うのであればシャンソン歌手として認められます。曲の故郷たるフランスで最も有名であり、そして愛されていたシャンソン歌手は「Édith Piaf(エディット・ピアフ)」さん。その壮絶な生い立ちと、第二次大戦の最中での活躍や1963年、当時47歳での死などからフラスで最も偉大な歌手の1人として尊敬を集めています。その人気は現在でもレコードが売れ続けているというほど。その生涯を表したかのような痛切なバラードは一聴の価値ありです。
日本を代表するシャンソン歌手
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日本語に訳されたフランス歌謡曲を歌うのがシャンソン。ならば当然歌っているのはほとんどが日本人です。その中でも特に代表的なシャンソン歌手と言えば「美輪明宏」さん。現在では金髪に染めて美輪明宏という名前で主にバラエティ番組で活躍していますが、その昔は黒髪で美形の歌手・俳優「丸山明宏」として活躍していました。この当時はシャンソン歌手としても活躍していて、シャンソンの殿堂とも言われていた、シャンソン喫茶店「銀巴里」で募集されていたことがデビューのきっかけです。国内外で活躍したシャンソンのパイオニアであれば「芦野宏」さん。この方は既に故人ですが、フランスのお有りでアジア人初出演を飾ったり、フランスの国営放送でショーを開いたりと、海外で活躍していました。日本国内でもシャンソン歌手として活躍する傍ら、日本シャンソン館を解説、二代目日本シャンソン協会会長に就任するなど、シャンソン界で名を知らない者は居ないとされる大物です。
シャンソン歌手の希望、活躍する若手シャンソン歌手
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現在シャンソンが殆ど知られていないのは、続く歌手がほとんど存在しない事と、新曲というものが生まれにくいということに関係しています。演歌と似たような問題で、演歌は日本発祥のジャンルということもあって衰退はすれど最低限の知名度は維持できています。しかし、シャンソンは比較的新しいジャンルであり、かつフランスの歌謡曲であったり、フランスの曲に日本語歌詞をあてるという関係上、新曲を生み出すことができません。そのため、全盛期から衰退の一途を辿っています。若手も少なからず存在はしていますが、そのほとんどが無名、ないしシャンソン界のみで名を広げている方ばかり。若手の希望、シャンソン歌手の希望として取り上げられている「藤木えり」さんをはじめとした若手シャンソン歌手の活躍に期待したい所です。
まとめ
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業界としては縮小と衰退の一途を辿っていってしまっているシャンソン。しかし、一度聴けば他の曲では感じることができない新鮮さを楽しむことができる、魅力のある歌であるということは間違いありません。言葉が時代で変わるように、歌も時代によって変化します。今活躍する若手の手で新たなシャンソンの境地が誕生することで、再び全盛期のようなブームを巻き起こせるかもしれません。