体臭魚として人気の魚としてあるいわしですが、そのいわしの幼魚をシラスとよんでいます。シラスは取れる時期が限られている魚ではありますが、基本的に獲ってすぐに塩湯でして釜揚げシラスにするのが一般的な食べ方と言えます。ただ各地のスーパーや湘南などの沿岸地域で特産品として生シラスが食べられるのですが、ここで疑問なのが資源の枯渇にはならないのかという点です。実はいわしもシラスも昔に比べて値上がりしていますが、今のところは資源の枯渇には至っていないのです。それにはいわしの生態が関係しています。
いわしがいなくならないのは卵の数が多いから
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いわしはマグロやカツオと同じく海の中の酸素を常に吸わなければならない回遊魚であり、それゆえに広大な海を海流に乗って泳いでいます。
当然ながらいわしを漢字で書くと魚編に弱いと書かれています。それは元々の意味は鮮度が速く落ちるからですが、もう一つの意味合いとして大型の魚類や海鳥にとっては格好の獲物になり食物連鎖でも下位に位置するからです。
そのためいわしは泳ぐときも集団で行動するだけでなく、既に遺伝子で自身は弱い存在でありそのほかの捕食者に食べられることをあらかじめ刻み込まれています。そこでいわしは生存本能を発揮し未来に種子を残すために、いわしは年の数回ある産卵期の際にメスが産む卵の数を小さくする代わりに平均70万個という大量の卵を海に放ちます。
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そして大量の卵を海に放ったら、今度はいわしのオスが大量の精子を泳ぎながら振りかけることによって受精させることで受精卵にします。受精卵になったら卵は海の海流の力で様々な方向にバラけるので、その段階でも捕食者に食べられる場合もありますが大量の卵を捕らえきれないのと食べきれないので平均50万個は残ります。
そして卵の養分で成長したいわしの幼魚は一斉に羽化すると、今度もある程度はえびや小型の魚に食べられますが同じく大量には食べられないので生き残ります。
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このような一度に大量の卵を産む生態をもっているので、その結果としてシラスは枯渇することなく日本の沿岸まで到達しいわしになるというわけです。
枯渇はしにくいが値上がりしているのは事実
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シラスを大量に取ってもいわしが枯渇しにくいのは、いわしは遺伝子レベルで大量に卵を生むことが出来るからです。ただそんな生態をもっているいわしですが、近年においては値段が高くなっているのも事実です。
なぜ枯渇しにくいのに値上がりするのか、それはやはり人間が与える影響が大きいからです。
近年において魚は健康食という印象が強くなったことで、
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これまで肉食中心だった中国やアメリカなど造船技術が発達して人口が多い先進国が、こぞって魚食に転換して漁を行なうようになっています。
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本来日本のように網を改良して大きいものだけ獲るようにすれば問題ないのですが、微細な網目で根こそぎ獲ってしまうので数を減らしてします。
さらに海水温度と海洋汚染の問題も深刻です。
いわしは環境の変化に弱い魚です。近年においての地球温暖化で海水温度が高くなってしまい、その環境はいわしとシラスにとってダメージにならないわけが無いです。
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そして人間が生活するうえで排出した生活排水の海への流出や船のオイル事故そして問題となっている発泡スチロールの粒子化によるごみ問題で海の環境はこれまでとは比べ物にならないほどに悪化しています。
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大型の回遊魚であれば汚染の少ない深海に近いところまで泳いでいけますが、いわしは海の上側を泳ぐしかないのでこういった環境による変化を受けやすいのです。
そのため卵を産んでも、その先に生きられる環境が少なくなっているので
写真:さてはてメモ帳 Imagine & Think!
値上がりし始めているのです。
まとめ
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いわしは大衆魚として日本の食卓に根付いていた魚です。特にシラスは春の風物詩として人気であり、その若々しい味わいは春の訪れを感じさせてくれます。ただそんなシラスもいわしも、人間による影響を受けて数を減らしているにも事実です。大衆魚だったいわしとシラスがマグロ並の高級魚になる事態も考えられます。そのような状態にしないためにも、日本だけでなく世界各国が今一度漁のやり方を資源枯渇しないための工夫をルール決めしたりごみ問題に着手することが大事なのです。point 314 | 1